足の親指の付け根が痛くて曲がらない——そんな症状に悩まされていませんか?
それは強剛母趾(きょうごうぼし)かもしれません。進行すると歩くのも困難になることがあります。
整形外科で行われる強剛母趾の手術について、種類や適応、術後の経過、費用の目安まで分かりやすく解説します。
強剛母趾とは?原因と症状
強剛母趾は、母趾(足の親指)の付け根にあたる第1MTP関節に起こる変形性関節症です。主に以下のような症状があります。
- 親指の付け根の痛み(歩行時・つま先立ち時)
- 関節が腫れて硬くなる
- 上に反らせなくなる(背屈制限)
- 靴が当たると痛い
手術はいつ必要?保存療法との違い
整形外科では、まずは以下のような保存療法が行われます。
- インソール(足底板)の使用
- 鎮痛薬・湿布・注射
- ストレッチやリハビリ
しかし1ヶ月以上続けても改善が見られない場合や、痛みで日常生活に支障がある場合は、手術が検討されます。
強剛母趾の手術法4種類とその特徴
強剛母趾の手術には複数の選択肢があります。患者の状態に応じて選ばれます。
1. 関節形成術(骨棘切除術)
骨のトゲ(骨棘)を削り、動きを改善する手術。軽度の患者に適応。
- メリット:自分の関節を温存できる
- デメリット:再発する可能性あり
2. 骨切り術(Chevron法など)
中足骨をV字に切り、角度を矯正して変形を改善。
- メリット:関節の動きが維持される
- デメリット:骨癒合に時間がかかる
3. 関節固定術(癒合術)
関節を固定して痛みを取り除く。可動域は失われるが安定性あり。
- メリット:痛みがほぼ完全に取れる
- デメリット:スポーツ向きではない
4. 人工関節置換術
関節を人工素材に置き換える方法。60代以降で適応されやすい。
- メリット:可動域の温存・回復
- デメリット:人工関節の寿命がある(10〜15年)
術後のリハビリと注意点
手術後の経過は術式によって異なりますが、一般的には以下のような流れです。
- 入院:1〜2週間
- 荷重制限:4〜8週間(骨切り術・癒合術の場合)
- 歩行訓練:松葉杖や装具を使い段階的に開始
- 通院リハビリ:可動域訓練・筋力トレーニング
再発防止のためにも、術後のリハビリは非常に重要です。
費用はどのくらい?健康保険の適用も
手術には健康保険が適用され、3割負担の方で以下のような費用感です。
- 関節形成術:約5万〜7万円
- 骨切り術:約7万〜10万円
- 関節固定術・人工関節:約10万〜15万円
高額療養費制度を利用すれば、さらに自己負担が抑えられる可能性があります。
手術しても再発する。その理由は?
強剛母趾は、手術を受けたとしても、再発します。
それは、手術では痛みを生み出す「骨棘(こつきょく)」を取り去ることはできるのですが、骨棘自体の発生を抑えられないからです。
骨棘の発生を抑えるには歩行改善が必要
骨棘の生成は、親指の付け根付近の炎症が原因です。
では、なぜ炎症が起きるか?というと、親指の付け根付近に体重を乗せすぎた状態で、親指を反らした歩き方をしているためです。
親指を反らして歩く原因は、足の過剰回内なのですが、それらは「足」だけに注目しても改善しません。
普段の体の使い方や上半身の姿勢の問題から原因が発生しているからです。
整形外科では足にしか注目していませんが、強剛母趾などの足の専門院では体全体のバランスから見て、足の負担を改善しようとします。
強剛母趾の完治や再発防止には、歩行改善が必須です。