足の親指の付け根が痛くて動かしにくい・・・このような症状で悩んでいる方の中には「強剛母趾(きょうごうぼし)」という疾患に該当するケースがあります。
関節リウマチや外反母趾とは異なり、強剛母趾は親指の付け根である中足趾節関節(MTP関節)の可動域が制限され、歩行時に強い痛みを生じるのが特徴です。
そのため、ネット上では「強剛母趾に効くマッサージ」といった情報が散見されます。
ですが、本当にマッサージで改善するのでしょうか?
マッサージの有効性と注意点を解説した上で、強剛母趾を根本的に改善するために必要なアプローチについて解説していきます。
強剛母趾にマッサージは効く?
結論から言えば、強剛母趾に対するマッサージは基本的におすすめできません。
その理由は主に3つあります。
痛みの原因が「骨棘(こつきょく)」だから
強剛母趾の痛みは、筋肉のコリや血行不良によるものではなく、関節内の骨や軟骨が変性していることが原因です。
したがって、表面的なマッサージで骨の変形や関節のすり減りを回復させることは不可能です。
過度な刺激で炎症を悪化させる恐れがある
変形した関節に対して無理にマッサージや指圧を加えると、内部の炎症を助長し、症状が悪化するケースもあります。
特に痛みがある状態でのセルフマッサージは要注意です。
関節の可動域を無理に広げるのは逆効果
強剛母趾では、親指の関節の動きが制限されていますが、それを無理に広げようとストレッチやマッサージを加えると、関節を支える靭帯や周囲の組織を損傷する危険があります。
強剛母趾を根本から改善するには?
強剛母趾を本当に改善したいのであれば、歩き方の改善(歩行改善)が欠かせません。
なぜなら、多くの強剛母趾の発症には、日常的な誤った歩行習慣が関与しているからです。
正しい歩行とは、かかとから着地し、足の裏全体を使って体重移動し、最後は親指で地面をしっかり蹴る動作です。
ところが、強剛母趾になる多くの人は、親指を反らしてあるく歩行になっており、これが親指の関節に過剰な負担をかけています。
ゆるかかと歩き・ゼロポジション歩行などの導入
近年注目されている「ゆるかかと歩き」や「ゼロポジション歩行」といった手法は、足のかかとを起点に重心を移動させることを重視した歩行法です。
これらの歩行法を導入することで、親指の付け根への過剰なストレスを軽減でき、強剛母趾の進行を食い止めたり、改善へと導くことが可能になります。
凶暴母趾には、マッサージよりも「歩き方の改善」を
強剛母趾の痛みや可動域制限に悩んでいると、「マッサージで何とかしたい」と考えるのは自然なことです。
しかし、実際には関節内部の構造的な問題であるため、表面的なマッサージでは完治には至りません。
それどころか、無理なマッサージは逆効果となる恐れもあります。
本当に必要なのは、歩き方を見直し、正しい身体の使い方を習得すること。
長年染みついた歩行のクセを修正するのは簡単ではありませんが、そこにこそ根本的な改善の鍵があるのです。
歩行指導専門のゆるかかと歩き指導院などで、指導を受けながら、足の構造に合った正しい歩行を習得することを強くおすすめします。