「内反小趾を治したいからテーピングをしている」
「サポーターで小指の角度を戻している」
「マッサージやストレッチを毎日している」
・・・そんな努力を続けているのに、なかなか良くならない方は多いのではないでしょうか。
実は、大抵の場合、内反小趾は“形を無理に戻そうとする”矯正では悪化します。
内反小趾になる原因は骨格の歪みや靴ではなく、別の所に問題があるからです。
この記事では、
「内反小趾を正しく改善するために何をすべきか」
「なぜテーピングやマッサージでは逆効果なのか」
を、足の構造と運動連鎖の観点から解説します。
内反小趾とは? その本質的なメカニズム
内反小趾(ないはんしょうし)とは、小指が内側(親指側)へと傾き、小指の付け根の骨(第5中足骨頭)が外側に張り出してしまう状態です。
外反母趾の「逆側」で起こる変形で、見た目の問題だけでなく、靴の圧迫や痛み、タコ・魚の目、歩行の乱れなどにつながります。
内反小趾で注意して頂きたいのは、小指の「骨が変形」しているわけではないです。
中足骨という足の骨の間隔が広がっているだけです。
決して変形しているわけではないので「矯正」をすると、余計に骨がおかしくなるケースが多いです。
内反小趾の原因
ではなぜ、中足骨の間が広がるか?というと、足の過剰回内(かじょうかいない)と、小指重心の歩き方にあります。
過剰回内が引き起こす連鎖
過剰回内とは、足の裏のアーチ(内側縦アーチや横アーチ)が潰れて、足首が内側に倒れた状態を指します。
この状態で小指側重心で歩くと、地面を蹴る際に小指側へ体重が逃げやすくなり、小指の付け根(第5中足骨)に強い負担が集中します。
そのせいで、小指側から中足骨の間隔が広がり、内反小趾になります。
テーピング・マッサージ・サポーターが逆効果になる理由
内反小趾のセルフケアとしてよく紹介される「テーピング」「マッサージ」「サポーター」「ストレッチ」。
しかし、これらの方法は足の形を外側に“無理に戻す”アプローチが中心です。
根本解決にならないばかりか、症状を悪化させることもあります。
そもそも骨が変形しているわけではなく、骨の間が広がっているだけです。
なので、無理に形を変えると、本当に骨が変形していまします。
テーピングで形を固定すると、足の本来の動きを邪魔する
小指を外側に引っ張って固定するタイプのテーピングは、一見きれいに見えます。
ですがが、実際には足の本来の動作が働かなくなり、アーチ機能がさらに低下します。
足のアーチは、地面からの衝撃を直接受けないように、開いたり閉じたりしています。
それを、テーピングや、サポーター、矯正靴下で固めてしまうと、本来の足の動きを阻害してしまいます。
内反母趾が良くなるどころか、膝痛や股関節痛になってしまいます。
マッサージやストレッチで関節を緩めすぎる
足の小指や外側の筋肉を強く揉みほぐすと、一時的に楽になるように感じます。
しかし、関節が不安定化して骨の変形が進行する場合があります。
特に「小指を外側へ引っ張る」ような強いストレッチは、関節構造を壊す恐れがあるため注意が必要です。
靴下や矯正グッズの「形を戻す」は一時的
最近では「内反小趾用靴下」「小指セパレーター」なども販売されています。
これらは“見た目を整えるだけ”で、歩行時の荷重パターンは変わりません。
結果として、グッズを外すと形は元に戻る、または悪化するというケースが多く見られます。
つまり、形を整えることよりも、「足がどう動くか」=歩行機能の改善が最優先なのです。
内反小趾の根本改善は「歩き方の再教育」から
内反小趾を改善するために欠かせないのが、歩行中の重心の流れを正しくすることです。
具体的には、「過剰回内を抑え、正しい位置で蹴り出す歩き方」を身につける必要があります。
内反小趾は足の「形」ではなく「動き」で治す
内反小趾の矯正で最も大切なのは、形を無理に戻すことではなく、歩行中の重心移動を正しくすることです。
テーピングやマッサージなどの「対症療法」では、かえってアーチ機能を弱めてしまう危険があります。
過剰回内と外側重心を修正し、足本来の機能を取り戻すことが、真の矯正につながります。
足の状態と歩き方のクセは中々自分では判らないもの。
専門家に一度、確認してもらうことをお薦めします。