モートン病(モートン神経腫)は、足の指の付け根、特に第3と第4趾の間で起こる神経の圧迫や炎症によって引き起こされる疾患です。
強い痛みやしびれ、灼熱感などの症状が現れ、歩行や立ち仕事など日常生活に支障をきたすこともあります。
保存療法で効果が見られない場合、ステロイド注射による治療が行われることがあります。
モートン病に対するステロイド注射について、その効果、手順、副作用などを詳しく解説します。
モートン病とは
モートン病は、足の中足骨間にある足底神経が、周囲の靭帯や骨に圧迫されることで炎症を起こす疾患です。
特に第3と第4中足骨の間でよく見られ、女性に多く発症します。
原因
モートン病の原因は、一般的には、ハイヒールや先の細い靴を日常的に履いていることが挙げられています。
また、足のアーチが崩れている偏平足や開張足、長時間の立ち仕事、ランニングやジャンプといった足への負担が大きいスポーツも影響します。
現在では、上半身の重心位置のかたよりと、偏った体重負荷が足の痛む部分に乗り過ぎていることと判明しています。
症状
足指の付け根に焼けるような痛みを感じたり、足趾の間にしびれや違和感が出たりします。
靴を脱ぐと痛みが軽減することが多く、歩行中に電気が走るような鋭い痛みを感じることもあります。
治療の基本的な流れ
まずは保存療法から始まります。
- 靴を幅広でヒールの低いものに変える
- 足底板(インソール)を使用する
- 消炎鎮痛薬の服用や外用薬を使用する
- 理学療法を受ける
- 体重管理を行う
といった対策が基本です。
これらで効果が見られない場合に、次の段階としてステロイド注射が検討されます。
ステロイド注射とは?
ステロイド注射は、副腎皮質ステロイド薬を炎症を起こしている部分に直接注射することで、痛みや炎症を緩和する治療法です。
モートン病では、足指の間の神経腫部分に注射を行います。
通常は、ステロイド薬と局所麻酔薬を組み合わせて使用します。
注射の手順と使用される薬剤
注射の手順
まず、医師が診察を行い、エコーなどの検査で注射の正確な位置を確認します。
続いて注射部位の皮膚を消毒し、足の甲側または足底側から注射を行います。
注射後はしばらく安静にし、体調や局所の変化を観察します。
使用される薬剤
ステロイド薬としては、ケナコルト(トリアムシノロン)やデポメドロール(メチルプレドニゾロン)が使用されます。
局所麻酔薬としては、キシロカイン(リドカイン)が併用されることが一般的です。
効果とその持続時間
注射直後には、麻酔薬の効果により即座に痛みが和らぐ場合があります。
ステロイドの抗炎症作用は数日後に現れ、効果は数週間から数か月持続することがあります。
必要に応じて、数回の注射を行うこともありますが、一般的には3回以内に留めるのが望ましいとされています。
ただし、神経腫からの一時的に抑えているだけなので薬が切れると痛みが再発します。
副作用とリスク
一時的に見られる副作用
注射部位に痛みや腫れが起こることがあります。
皮膚の色が白く変化したり、一時的にしびれが出ることもありますが、これらは比較的軽度な副作用です。
繰り返し投与によるリスク
ステロイド注射を頻回に行うことで、
- 皮膚が薄くなる
- 脂肪組織が萎縮する
- 感染症のリスクが高まる
- 腱や靭帯が弱くなる
- 皮膚の色が黒く変色する
といった副作用が現れる可能性があります。
ごく稀に全身性の副作用も報告されています。
注射が効かない場合の対応
注射後も症状が改善しない場合には、MRIやエコーによる再評価が行われます。
必要に応じてインソールを調整したり、理学療法を強化したりします。
それでも改善が見られない場合は、神経を切除する手術や、神経への圧迫を取り除く靭帯切開術などが検討されます。
注射を受ける際の注意点
抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用している方は、注射の前に医師へ必ず相談してください。
また、糖尿病の方は注射によって一時的に血糖値が上がることがあるため注意が必要です。
注射後は無理をせず、数日は激しい運動を控えるようにしましょう。
ステロイド注射は一時的な効果、完治を目指す場合は歩行改善を
モートン病のステロイド注射は、保存療法で効果が出ない場合に有効な選択肢です。
即効性があり、生活の質を改善する手助けになります。
ただし、副作用や再発のリスクもあるため、医師とよく相談したうえで慎重に受けることが大切です。
また、薬の効果が切れると痛みは再発します。
モートン病の本当の原因は、痛む部分で地面を打ち付けるような歩き方なので、歩き方を変えないと手術したとしても再発します。