モルトン氏病(Morton’s disease)は、日本では「モートン病」と呼ばれることが多く、正式にはMorton’s neuroma(モートン神経腫)と呼ばれる足の病気です。
足の指の付け根にある神経が慢性的に圧迫されて炎症や肥厚が起きる疾患で、特に第3・第4趾(中指と薬指の間)に多く発症します。
モルトン氏病(モートン病)とは?
モルトン氏病は、足の指の付け根にある神経が慢性的に圧迫されることで発症する病気です。
神経腫(神経がこぶ状に肥大した状態)ができるため、「モートン神経腫」とも呼ばれます。
19世紀に米国の外科医トーマス・ジョージ・モートン氏が報告したため、その名前がついています。
日本でも整形外科・足の外来などで比較的よく見られる疾患で、女性に多い(特に30〜60代)という特徴があります。
主な症状
モルトン氏病の症状は、神経が圧迫されることで起こるしびれ・痛み・違和感が中心です。
足指の付け根の痛み
特に中指と薬指の間(第3趾間)が多く、歩行時や体重をかけたときに鋭い痛みを感じます。
「電気が走るような痛み」「焼けるような痛み」と表現されることもあります。
足指のしびれ・感覚異常
圧迫されている神経の支配領域にしびれや感覚鈍麻(感覚が鈍くなる)が起こります。
歩いていると「足の指に砂利が入っているような」「何か挟まっているような」感覚になる人もいます。
痛みが歩行や靴によって悪化する
ハイヒールやパンプスなど、前足部に体重がかかる靴を履くと症状が強くなります。
長時間歩く・走るなどの負荷でも悪化します。
座っていると軽くなる
足から荷重を外すと痛みが和らぐのが特徴です。
ただし、進行すると安静時でも痛む場合があります。
原因
モルトン氏病の根本的な原因は、神経への慢性的な圧迫・摩擦です。
特に以下の要因が重なると発症しやすくなります。
- 前足部(つま先側)に負担がかかる靴(ハイヒール、パンプス、先の細い靴など)
- 足のアーチ構造の崩れ(外反母趾、開張足、偏平足など)
- 歩き方や走り方の癖(つま先で強く蹴り出す、かかとが使えていないなど)
- スポーツ活動(ランニング、テニス、バスケットボールなど)
診断
整形外科での診断が基本です。
問診と触診で多くは判断できますが、必要に応じて以下が行われます。
- 圧迫テスト(Mulderテスト):足を横からつまんで圧迫し、神経を押し出すようにして痛みや“クリック感”を誘発するテスト
- 超音波検査・MRI:神経腫の存在や大きさ、他疾患との鑑別
治し方・治療法
モルトン氏病は、歩き方の変更で改善することが多いのが特徴です。
治療法としては、目先の痛みの緩和、神経腫を取り去る手術、根治を目指す歩行改善があります。
靴の見直し
つま先が広い靴、クッション性がある靴に変更し、ヒールの低い靴を選びます。
足指がしっかり動く靴下・インソールを活用することも有効です。
ただし、根本的な原因は靴ではないので、靴を変えなくても完治は可能です。
インソール・パッド療法
横アーチを支えるインソールや、趾間パッド(指の間に挟むもの)で神経への圧迫を減らします。
整形外科や義肢装具士が作るオーダーメイドが効果的です。
ただ、根治はできませんので一時的な対処法です。
薬物療法
消炎鎮痛薬(内服・外用)、局所ステロイド注射(炎症を抑える)など。
注射は短期的な痛み軽減には有効ですが、根本的な治療にはなりません。
物理療法・リハビリ
温熱療法や超音波治療で血流改善、足の筋肉(特に足底筋・ふくらはぎ)のストレッチ・トレーニングを行います。
鍼灸院や整体院や、整骨院が用いますが、殆ど効果はありません。
1ヵ月で痛みが改善しない場合は効果無しと判断しても大丈夫です。
歩き方・体重のかけ方の改善
近年、多数の改善実績を出している治療法です。
多くの患者さんはつま先で地面を強く蹴り出す歩き方をしており、それが神経への負担を増やしています。
「かかとから着地し、足裏全体に体重を分散させる歩き方」や「ゆるかかと歩き」のような歩行改善法を習得することで、神経への圧迫が減り、痛みが改善する歩き方に変わることが出来ます。
歩き方を変えると、痛みは1ヵ月程度で治まり、神経腫は半年程度で消失します。
手術療法
保存療法で半年〜1年たっても改善しない場合、手術が検討されます。
神経切除術(肥厚した神経を切除する手術)や神経除圧術(神経の周囲の靭帯を切って圧迫を除く手術)が行われます。
入院は数日〜1週間程度で、回復には数週間かかります。
痛みは多くの場合軽減しますが、感覚鈍麻(しびれが残る)などの後遺症が残る可能性もあるため、まずは保存療法が優先されます。
モルトン氏病の日本での正式名称はモートン病で、治し方は、モートン病と同じ
モルトン氏病(モートン病)は、足指の付け根(特に中指と薬指の間)の神経が圧迫されて炎症・肥厚を起こす病気です。
症状は「電気が走るような痛み」「しびれ」「異物感」などで、歩行や靴によって悪化します。
治療の基本は「神経への圧迫を減らすこと」で、靴の見直し・インソール・薬・リハビリ・歩行改善など、保存療法で多くは改善が期待できます。
それでも治らない場合に手術が選択肢となりますが、まずは生活習慣・歩行改善から始めるのが望ましいです。
足のしびれや痛みを感じたら、整形外科での診断とゆるかかと歩き指導院のような専門家のアドバイスを受けることが大切です。