モートン病は足の指の付け根に強い痛みやしびれを生じる病気で、特に第3・第4趾の間に多く見られます。
整形外科や治療院などでは「モートン病はハイアーチ(甲高足)が原因」と説明されることが少なくありません。
しかし実際には、単純に「ハイアーチだからモートン病になる」というのは誤解です。
両者には共通する本当の原因があり、そこを正しく理解しない限り、どちらも根本的には改善しません。
ハイアーチって何?
ハイアーチとは、足の縦のアーチ(土踏まず)が極端に高くなっている足型を指します。
一般的に足には、縦アーチ(内側縦アーチ・外側縦アーチ)と横アーチの3つのアーチ構造があり、これらがクッションのような役割を果たすことで、歩行や走行時の衝撃を和らげています。
しかしハイアーチになると、足裏の一部に体重が集中してしまい、バランスの悪い足裏接地になります。
その結果、足底筋膜炎、疲労骨折、タコ・ウオノメ、そしてモートン病などを併発しやすい状態になります。
ただしここで注意すべきは、「ハイアーチそのものがモートン病の原因ではない」という点です。
モートン病の原因は、ハイアーチではないので、ハイアーチを治してもモートン病が治るとは限りません。
モートン病とは何か?
モートン病は、足の指の付け根付近(特に第3・第4趾間)の神経が圧迫され、炎症や神経腫を起こしてしまう病気です。
主な症状は以下の通りです。
モートン病の主な症状
- 歩くと足指の付け根に「電気が走るような痛み」や「焼けつくような痛み」が出る
- 足指の間にしびれや違和感がある
- ハイヒールや細身の靴を履いた時に特に悪化する
- 長時間の立位や歩行で症状が強くなる
従来の医学的な説明では「足裏にかかる圧力が偏ること」「靴の圧迫」が原因とされます。
確かに靴の影響は症状を助長しますが、根本的な発症原因はもっと深い部分にあります。
「モートン病の原因はハイアーチ」というのは間違い
多くの整形外科や治療院では「モートン病はハイアーチが原因」と説明されることがあります。
しかし実際には、ハイアーチがある人すべてがモートン病になるわけではありません。
また、扁平足(アーチが低い足)の人でもモートン病になるケースは少なくありません。
つまり、足の形状そのものが原因なのではなく、別の所に本当の原因があるのです。
モートン病の本当の原因とは?
モートン病の本当の原因は、上半身の重心バランスの崩れです。
姿勢が崩れて重心のバランスが崩れると、足裏でバランスを戻そうとします。
体重の分散がかたより、特定の部分に集中してしまいます。
その結果、足が過剰に内側に傾いたり、逆に外側に力が入りすぎたり、前足に体重が乗りすぎたりします。
内側に力が入りすぎると偏平足になり、外側に力が入りすぎるとハイアーチになります。
そうすると、体重を足の一部分だけで支えることになります。
その状態で、地面を打ち付けるような歩き方をすると、歩く度に過度な衝撃が足裏に加わり、炎症が起こります。
この炎症が慢性化すると神経腫を生成し、モートン病になるのです。
このように、ハイアーチもモートン病も「足そのものの異常」ではなく、「重心バランスの崩れが足の形や歩行の癖として現れた結果」なのです。
足だけを施術しても再発する理由
ハイアーチやモートン病に対して、インソール、マッサージ、ストレッチ、電気治療などが行われることがあります。
これらは一時的に楽になることはあっても、根本解決にはつながりません。
なぜなら、足の形や神経の圧迫は「結果」であって「原因」ではないからです。
上半身の重心バランスを改善せずに足だけを施術しても、結局同じ力学的な負担が繰り返され、症状は再発してしまいます。
根本的に改善するために必要なこと
ハイアーチもモートン病も、本当に改善したいのであれば、上半身の重心バランスを整えた姿勢の矯正が不可欠です。
これにより、足裏にかかる体圧が自然に分散され、ハイアーチやモートン病の「根本原因」にアプローチできます。
さらにモートン病の場合は、歩き方の改善が必須です。
「痛む部分で蹴り出す癖」をやめ、母趾を中心とした自然な蹴り出しを身につけることが重要です。
姿勢と歩行の両方を整えることで、ようやくモートン病は再発しない形で改善へと向かいます。