モートン病になったらテーピングをやってはいけない理由です。
モートン病(Morton’s neuroma)は、足の裏、特に第3・第4中足骨間(薬指と小指の間あたり)に痛みやしびれを引き起こす疾患です。
正確には「病」ではなく、「モートン神経腫」と呼ばれることもあります。
原因は、足の中にある神経が周囲の靭帯や骨に圧迫されて炎症を起こすことによる神経障害です。
症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 足の指の付け根の鋭い痛みや焼けるような感覚
- 歩くと足裏に小石が挟まっているような違和感
- 長時間の歩行や立ち仕事後の強い痛み
- 指のしびれや感覚異常
こうした症状は、一見すると靴の問題や足の形状の問題に見えることもあります。
ですが、根本的な原因は「歩き方」です。
なぜ「歩き方」?
モートン病の原因は、足に過度な負担がかかる歩行のクセです。
特に、以下のような歩き方の癖がモートン病を引き起こしやすいとされています。
- 内側に体重を乗せて歩く
- 重心移動が「かかと」→「内側」→「痛む部分」になっている
- 着地時に痛む部分で打ち付けるような歩き方になっている
こうした歩行によって、歩く際に、毎回同じ部分(痛むところ)を打ち付け、炎症を起こし、それが中足骨(足の甲の部分の骨)に過度な圧力が加わり、神経が締めつけられ、神経腫ができてしまうのです。
つまり、モートン病は「歩行動作によって引き起こされる結果」であり、表面的な処置では改善しないことがわかります。
ちなみに、薬指付近だとモートン病、それ以外のつま先だと「中足骨骨頭部痛」と言われますが、原因と症状は同じです。
テーピングがなぜ逆効果になるのか
モートン病の痛みを和らげるために、テーピングを勧める情報や動画もインターネット上ではよく見かけます。
しかしながら、テーピングは一時的なサポートや固定を目的とする対処法であり、根本的な改善にはならないばかりか、かえって悪化させるリスクもあります。
特に注意すべきなのが、「中足骨の開閉運動を妨げてしまう」ことです。
中足骨の開閉運動とは?
人間の足は、歩くたびに中足骨がわずかに開いたり閉じたりする「開閉運動」をしています。
この動きは以下のような役割を果たしています。
- 地面からの衝撃を吸収する
- 足の指がしっかり地面をとらえる
- 歩行時のバランスを取る
- 足裏アーチの柔軟性を維持する
しかし、テーピングによって足部を固定してしまうと、この自然な開閉運動が制限されてしまいます。
とくに足の甲や前足部をしっかり巻いてしまうようなテーピングでは、中足骨間のスペースが広がらなくなり、神経の逃げ場がなくなってしまうのです。
これが、モートン病にとっては致命的です。
テーピングが引き起こす二次的な問題
テーピングがモートン病を悪化させる原因として、次のような副作用も考えられます。
- 神経のさらなる圧迫 – 中足骨間が固定されることで、神経腫がより圧迫されてしまい、痛みやしびれが増す。
- 歩行バランスの崩れ – 無意識のうちに他の部位でかばい、膝や腰などに悪影響が出る。
- 足底筋や足指の筋肉が弱くなる – 足本来の機能が低下し、さらなるトラブルを招く。
テーピングの「安心感」が落とし穴になる
テーピングをすると「固定されているから安心」と感じる人が多いのですが、その安心感が逆に、自分の身体の異常に気づかせなくする要因にもなり得ます。
痛みが和らいでいるからと無理に動いてしまい、炎症や神経圧迫を悪化させてしまう例も少なくありません。
特に注意したいのが、「テーピングをしたまま歩き方を改善しない」ことです。
歩行の癖がそのままであれば、モートン病は何度でも再発します。
テーピングではなく、足本来の動きを取り戻すべき、真に必要なのは「正しい歩き方の習得」
モートン病を根本から改善するには、テーピングではなく、歩き方そのものを見直すことが必要です。
「正しい歩き方」といっても、「モートン病になっていない人が普通に歩いている歩き方」です。
モートン病の根本原因が「歩き方」にある以上、その対策も「歩き方の改善」以外にありません。
テーピングは確かに一時的な痛みの軽減には役立つかもしれませんが、中足骨の開閉を妨げ、かえって悪化の原因になります。