モートン病(Morton’s neuroma)は、正式には「足底神経腫」とも呼ばれ、足の中足骨(ちゅうそくこつ)と呼ばれる骨と骨の間を走る神経が圧迫されて炎症を起こした状態です。
多くは第3趾(中指)と第4趾(薬指)の間で起こるため、「第3-4中足間モートン神経腫」とも呼ばれます。
モートン病は進行すると激しい痛みによって日常生活に支障をきたすこともあります。
が、初期症状の段階では「なんとなく違和感がある」というレベルの症状も多く見られます。
モートン病の初期には、どのような感覚があるのか、どのような行動が引き金となるのか、何に注意すべきかを簡単に解説していきます。
初期症状の主な特徴
初期症状の主な特徴です。
足指の間の違和感・しびれ
モートン病の最も初期の症状のひとつが「足指の間のしびれや違和感」です。
特に第3指と第4指の間に「ピリピリ」した感覚や「じんじん」するような感覚が現れることがあります。
このしびれは長く歩いた後や、ハイヒールや細身の靴を履いた後に強くなる傾向があります。
足裏の「小石を踏んでいるような」感覚
初期の段階でも特徴的なのが、「足裏に小石が挟まっているような」感覚です。
実際に異物があるわけではないのに、歩いていると足の裏に異常な感覚を覚えることがあります。
これは神経が圧迫されていることによる錯覚のようなもので、軽度でもこのような症状が現れることがあります。
歩行時の軽い痛み
まだ激痛ではないものの、「歩くと少し痛む」「体重をかけると違和感がある」という程度の痛みも初期症状の一つです。
この段階では、痛みは断続的で、休んでいれば軽減することが多いです。
逆に、長時間の立ち仕事やランニングなどで悪化するケースもあります。
初期症状が出やすいタイミング・要因
初期症状が出やすいタイミング・要因についてです。
靴の影響
特にハイヒールやつま先の細い靴を履いている人は注意が必要です。
これらの靴は前足部に負担をかける形状をしており、中足骨の間にある神経が圧迫されやすくなります。
初期段階では、そうした靴を脱いだ直後に「足がしびれる」「何かが挟まっていたような感じがする」といった症状が出やすいです。
長時間の立位・歩行
初期には、症状が出たり出なかったりする「波」があるのが特徴です。
長時間の歩行や立ち仕事、特に硬い地面での動作後に症状が強くなることが多く、休憩すると軽減するというサイクルを繰り返します。
足のアーチ構造の崩れ(開帳足)
足の横アーチ(前足部の横幅方向のアーチ)が低下すると、中足骨の間隔が狭まり、神経が圧迫されやすくなります。
この状態を「開帳足(かいちょうそく)」と呼びますが、これもモートン病を引き起こす大きな要因の一つです。
初期には「なんとなく足が広がった感じがする」「靴がきつくなったような気がする」といった感覚も現れます。
初期症状を放置するとどうなるか?
初期症状を放置してしまうと、炎症や神経の肥厚(神経の一部が腫れて太くなる)が進行し、症状が悪化していきます。
以下のような状態に進行する可能性があります。
- 歩行中に鋭い痛みが走る
- 足指の感覚が麻痺したようになる
- つま先に力が入らず、歩きにくくなる
- 痛みが持続的になり、安静時でも違和感を覚える
したがって、初期の段階での適切な対応が非常に重要です。
4. 初期症状に気づいたらすべきこと
靴を見直す
まず最も効果的な対策は「靴の見直し」です。
前足部に圧迫を与えない靴、クッション性の高いインソールを使うことが推奨されます。
幅広で指先に余裕のある靴を選びましょう。
ただし、本当の原因は靴ではないので、靴を変えても症状が改善しない場合は、治療が必要です。
専門医の受診
症状が数日~数週間続く場合や、悪化する兆しがある場合は、整形外科や足病専門のクリニックを受診しましょう。
X線やMRIなどによる診断で、他の疾患との鑑別も含めて正確な診断が下されます。
歩行改善に取り組む
ハッキリとモートン病と診断された場合は、歩行改善に取り組みます。
モートン病の原因は、
- 上半身の重心のバランスがズレ、
- 足裏で支える体重が不均衡になり、
- 痛む場所で、打ち付けるような歩き方
をするためです。
歩く度に、痛む場所を打ち付けるので、歩行改善以外に完治は難しい症状です。
モートン病の初期症状を感じたら、歩き方のチェックをしてみる
モートン病の初期症状は、見過ごされがちな軽度の違和感やしびれ、軽い痛みといった形で現れます。
しかし、これらの症状を早期に認識し、適切な対策をとることで、進行を防ぐことが可能です。
特に以下のような症状が現れた場合は、注意が必要です。
- 足指の間のしびれやピリピリ感
- 歩行時に足裏に異物を感じるような違和感
- ハイヒールや狭い靴の後に足がしびれる
- 長時間歩いた後に足先に痛みやしびれが出る
足の痛みや違和感は「そのうち治るだろう」と放置しがちですが、モートン病は進行性の疾患であり、早期対応が何よりも大切です。
痛みが小さいうちに、整形外科で他の症状ではないか?を確認し、モートン病と診断されたら歩行改善に取り組みましょう。
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