内反小趾(ないはんしょうし)」とは、小指の付け根の関節が外側に張り出し、小指が親指側に傾く足の変形です。

見た目だけでなく、靴との摩擦による痛みやタコ・ウオノメ、歩行バランスの崩れを引き起こします。

多くの方が

「いつになったら治るのか?」
「全治までどのくらいかかるのか?」

と気にしますが、実は治るまでの期間は“どんな治療を受けるか”で大きく変わります。

整形外科での一般的な治療と全治までの期間

内反小趾で痛みが強い場合は、まずは整形外科で痛み止めの処方が必要です。

整形外科での一般的な治療と全治までの期間について解説します。

保存療法(手術をしない治療)

整形外科で行われる保存療法には次のようなものがあります。

  • 足に負担の少ない靴の推奨
  • パッドや市販インソールの使用
  • サポーターやテーピングによる補正
  • 痛み止めや湿布などの投薬療法

これらは痛みを一時的に和らげる効果はあるものの、変形そのものを根本から直す治療ではありません。

痛みの緩和は薬で即日得られることが多いですが、薬の効果が切れると再発します。

内反小趾の痛みや進行を防ぐ効果には限界があります。

手術をした場合の経過

重度の場合、整形外科で「骨切り術」などの手術が行われることがあります。

一般的な術後経過は以下の通りです。

  • 術後の固定(ギプス等):約4〜6週間
  • リハビリ開始:術後2か月前後から段階的に
  • 日常生活への復帰:3〜6か月程度

手術で見た目の角度は矯正できますが、上半身の重心ズレや歩行のクセをそのままにしておくと、数年後に再発するリスクがある点に注意が必要です。

整形外科での治療は「完治」ではない

整形外科での保存療法や手術は痛みの軽減や一時的な形の矯正に有効です。

ただ、身体全体のバランスや歩行の癖を改善しない限り、本当の意味での完治(再発しない根本改善)には至らないことが多いです。

内反小趾の本当の原因:姿勢と歩き方が根本にある

内反小趾は足や指だけの問題ではありません。

多くの場合、体全体のバランスの崩れが発症の根本原因になっています。

内反小趾は以下の流れで発生します。

  1. 普段の姿勢や、仕事での体の使い方から上半身の重心位置がずれる。
  2. 体はバランスを取り戻そうとして、足裏で無意識に調整を行う。
  3. 結果として小指側に体重が過剰にかかる。
  4. 小指側に偏ったまま、小指だけで蹴り出す歩き方をしてしまう。
  5. その状態が続くと中足骨の間が小指の外側へ向けて広がり、小指が親指側に倒れて内反小趾が形成される。

つまり、姿勢の歪み→重心のズレ→歩行の仕方、という連鎖が内反小趾を作り出しているのです。

本当に治すには:姿勢分析・足圧分析・歩き方の改善が必須

内反小趾を根本から治すためには、次の3点が不可欠です。

1. 姿勢分析

上半身の重心バランスを正し、そもそも重心がずれる原因を見つけること。

2. 足圧分析

足裏のどの部分に体重が偏っているかを計測し、具体的な負担箇所を明らかにすること。

3. 歩行改善

小指側で蹴る癖を直し、正しい体重移動(踵→足裏中央→つま先全体)を身につけること。

これらを組み合わせて初めて、再発しない「全治」が目指せます。

全治までの目安(実際の臨床経験に基づく目安)

姿勢と歩行を改善するアプローチを行った場合の目安は次の通りです。

  • 痛みの改善:1〜2週間程度で痛みが軽減することが多い。
  • 足の形(骨格)の改善:約6か月ほどで変化が出始める(個人差あり)。

この期間はあくまで目安ですが、継続的に正しい歩き方を続けることで、再発しない状態へと移行していきます。

整形外科だけでは不十分。本当の全治は歩き方を変えること

内反小趾は「足の変形」ではなく、「姿勢と歩き方のクセ」が根本原因です。

整形外科の治療は痛みの軽減や一時的な形の矯正に有効ですが、姿勢や重心・歩行を変えなければ再発するリスクがあります。

正しい姿勢分析、足圧分析、歩行改善を組み合わせれば、痛みは1〜2週間で軽減し、足の形は約半年で改善していきます。

内反小趾を本当に治したいなら、まずは姿勢と歩き方を見直すことが最短ルートです。