足の中指や薬指の付け根辺りにしびれを感じる、歩くと違和感がある、などの症状で考えられる原因や病名についての解説です。
しびれの背景には軽度なものから治療が必要な病気までさまざまな原因がありますので、不安に思っている方は参考にしてみてください。
足の薬指のしびれ——考えられる病気・症状名とその解説
足の薬指(第4趾)のしびれには、神経の圧迫や損傷、血流障害、整形外科的疾患、糖尿病などの内科的疾患が関わっている場合があります。
ここでは、足の薬指のしびれに関連しやすい主な疾患について解説していきます。
1. モートン病(Morton病)
概要
モートン病は、足の中足骨(足の指の付け根あたり)にある神経が圧迫されて、足指(特に第3・第4趾)にしびれや痛みが出る疾患です。
症状
- 第3・第4趾の間、または薬指にピリピリしたしびれや灼熱感
- 歩くと悪化し、靴を脱ぐと楽になる
- 圧迫するとピリっと電気が走るような痛み
原因
- ヒールや先の細い靴など、神経を圧迫する靴
- 歩き方や足のアーチ(偏平足やハイアーチ)による負荷
- 長時間の立ち仕事や運動
対処法
- しびれの軽減のために靴の見直し(広めの靴・中敷きの使用)
- 足底板(インソール)による矯正
- 重症時には神経除圧や切除手術
2025年現在では、モートン病は歩行改善で完治できることが判っています。
歩行改善の指導がある専門院で治療すると、痛みは1ヵ月程度、神経腫は半年程度で消失します。
2. 腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症
概要
腰の神経が圧迫されることで、坐骨神経痛として足の末端にしびれが出ることがあります。
特にL5やS1の神経根が圧迫されると、足の外側や薬指〜小指にしびれが生じやすいです。
症状
- 腰痛とともに足のしびれ・痛み
- 長時間立ったり歩いたりすると悪化
- 前屈みや体位でしびれの程度が変わる
原因
- 加齢による椎間板の変性
- 姿勢不良、重い物の持ち運び
- スポーツや交通事故による外傷
対処法
- 安静とストレッチ
- 薬物療法(消炎鎮痛薬など)
- 神経ブロック注射
- 難治性には手術が検討される
3. 足根管症候群(そっこんかんしょうこうぐん)
概要
足首の内くるぶしのあたりを通る「後脛骨神経」が圧迫されて生じる神経障害です。
薬指や小指にもしびれが広がることがあります。
症状
- 足裏全体のしびれ・灼熱感・ピリピリ感
- 夜間や長時間立っていると悪化
- 圧迫部位(内くるぶし下)を押すと痛みが強くなる
原因
- 足首のけが、腫瘤(ガングリオンなど)
- 糖尿病や関節リウマチによる神経障害
- 長時間の立ち仕事
対処法
- 神経の圧迫原因の除去
- インソールなどの使用
- 重度には手術的除圧
4. 糖尿病性末梢神経障害
概要
糖尿病の合併症として最も多いのが神経障害です。
特に足の先(つま先、指)からじわじわとしびれや感覚鈍麻が出るのが特徴です。
症状
- 足先のしびれや感覚の鈍さ(靴下を履いているような感覚)
- チクチク、ビリビリとした感覚異常
- 初期には痛みよりもしびれが目立つ
原因
- 高血糖状態による神経への慢性的ダメージ
対処法
- 血糖コントロールの改善
- ビタミン剤(ビタミンB群)や抗けいれん薬の服用
- 痛みやしびれを緩和する神経障害薬(プレガバリンなど)
5. 外傷や圧迫による神経損傷
概要
足をぶつけたり、足の一部を長時間圧迫していたことで、神経が一時的にダメージを受けることがあります。
症状
- しびれ、感覚の麻痺
- 圧迫を解除してもしびれが数日〜数週間残ることもある
原因
- 靴ずれや圧迫による局所の神経損傷
- 骨折や打撲後の後遺症
対処法
- 安静と様子見
- 軽症であれば自然回復することが多い
- 改善がない場合は整形外科で神経伝導検査を受ける
6. ビタミンB群の欠乏(特にB1・B12)
概要
ビタミンB群は神経の働きを保つために重要です。
栄養不足やアルコール過多で不足すると、末梢神経の機能が低下し、しびれが生じやすくなります。
症状
- 手足のしびれや脱力感
- 疲れやすさ、集中力低下
- しびれは左右対称的なことが多い
対処法
- 食生活の改善(魚介類、豚肉、海苔、レバーなど)
- サプリメントや医薬品による補給
足の薬指のしびれる症状の見分け方
病名・症状名 | 特徴的な症状 | 注意点 |
---|---|---|
モートン病 | 歩くと第3・4趾がしびれる | 打ち付ける歩き方が原因 |
腰椎疾患 | 腰痛とともに足指がしびれる | 長引く場合はMRIも検討 |
足根管症候群 | 足裏や薬指がしびれる | 内くるぶしのあたりに痛み |
糖尿病性神経障害 | 足先のビリビリ・鈍さ | 糖尿病歴がある人は要注意 |
神経の圧迫 | 一時的な麻痺やしびれ | 圧迫姿勢や靴の見直しを |
ビタミン欠乏 | 手足のしびれ | 食生活もチェックを |
受診の目安
- しびれが長期間続いている
- 歩行や日常生活に支障がある
- 痛みや麻痺を伴う
- 糖尿病などの持病がある
気になるしびれがある場合は、「年齢・生活習慣・持病の有無・靴の種類」なども含めて、総合的に考えることが大切です。
無理せず、必要に応じて医師の診察を受けてください。