足の薬指付近にしびれや違和感を感じると、多くの人は「血行が悪いのかな」「靴が合っていないのかな」と考えます。
しかし、片足だけに限定したしびれが続く場合、単なる血流不良ではなく神経や筋骨格系のトラブルが隠れていることが少なくありません。
ここでは、足の薬指周辺のしびれの原因として考えられる代表的な疾患やメカニズム、何科を受診すべきかを詳しく解説します。
しびれとは何か?そのメカニズム
「しびれ」という感覚は、神経が何らかの理由で圧迫・障害・炎症を起こし、正常な電気信号が脳に届かなくなったときに生じます。
末梢神経(足先まで伸びる神経)、神経根(腰から出る神経)、脊髄・脳など、どの部位で障害が起きても起こり得ます。
血行不良も神経に酸素が届かないことで一時的にしびれを感じさせるため、神経と血流は密接に関係しています。
足の薬指付近にしびれが出る主な原因
モートン病(モートン神経腫)
もっとも代表的なのがモートン病です。
中指と薬指の間(あるいは薬指と小指の間)の神経が、中足骨頭の間で圧迫・肥厚し、歩くたびにピリッと電気が走るようなしびれや痛みを感じます。
特にヒールや先の細い靴を履く人、足の横アーチが崩れている人に多く見られます。
初期は一時的なしびれですが、進行すると安静時もしびれることがあります。
足根管症候群
足首の内側にある「足根管」というトンネルで神経が圧迫される疾患です。
足底全体や指先にじんじんしたしびれ、灼熱感が出ることが多く、片足だけに起きることもあります。
原因はガングリオン(嚢胞)や腫瘤、外傷後の瘢痕など多岐にわたります。
末梢神経障害(糖尿病性神経障害など)
糖尿病やアルコール多飲、ビタミンB群欠乏などで末梢神経がダメージを受けると、足先から左右対称にしびれが始まることが多いです。
ただし、片足だけに出ることもゼロではありません。
全身疾患が背景にある場合、しびれ以外に足の冷えや感覚鈍麻、潰瘍などを伴うこともあります。
腰椎由来の神経圧迫(腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症など)
腰の神経根が圧迫されると、坐骨神経に沿ってお尻や太もも、ふくらはぎ、足先にしびれや痛みが走ります。
薬指だけが痺れているように感じても、実際は腰からの神経が関与していることがあります。
特に腰痛や長時間歩くとしびれが強くなる場合は腰椎性の可能性があります。
靴・歩き方による局所圧迫
長時間窮屈な靴を履く、偏った歩き方をすることで足の特定の神経や血流が圧迫され、しびれが出ることがあります。
これが一過性なら問題ありませんが、繰り返すうちに慢性的な神経障害へと発展することもあります。
片足だけがしびれる場合の注意点
左右両方のしびれは全身性疾患(糖尿病・ビタミン欠乏など)や末梢神経障害を示唆しますが、片足だけの場合は局所的な神経圧迫や整形外科的な問題が多いです。
モートン病、足根管症候群、腰椎ヘルニアによる神経根障害などが代表的です。
片側だけに症状がある場合は、局所か神経根のどちらかに異常がないかを調べることが重要です。
何科を受診すればよいか?
まずは整形外科(特に足の外科がある病院)を受診するのが基本です。
モートン病や足根管症候群など、局所の問題が疑われる場合は整形外科が第一選択となります。
必要に応じて神経伝導検査やMRI、超音波検査を行い、神経腫や圧迫部位を確認してくれます。
腰椎性の神経障害が疑われる場合も整形外科が対応可能ですし、神経内科と連携することもあります。
糖尿病やビタミン欠乏など全身性疾患が背景にある場合は、内科や糖尿病内科が加療を担当します。
もし整形外科で原因が特定できない場合は、神経内科への紹介や脊椎専門医の診察が行われることもあります。
「しびれ=神経内科」と考える人が多いですが、足先限定の場合はまず整形外科で局所疾患を除外することが合理的です。
受診までにできるセルフチェック・対応
- しびれが出るタイミング(歩行時・安静時・夜間など)をメモしておく
- どの指、どの範囲までしびれているかを把握する
- 履いている靴や歩き方に偏りがないか確認する
- 糖尿病や腰痛など既往歴がある場合は医師に伝える
こうした情報があると診察がスムーズになり、正確な診断に役立ちます。
足の薬指付近のしびれは、単なる血行不良ではない
足の薬指付近のしびれは、単なる血行不良ではなく、モートン病や足根管症候群などの局所神経障害、腰椎からの神経圧迫、あるいは糖尿病など全身性疾患が背景にあることもあります。
片足だけにしびれが出ている場合は、局所的な圧迫や整形外科的な問題である可能性が高いため、まずは整形外科を受診することが推奨されます。
必要に応じて神経内科や内科に紹介されることもあるので、自己判断せず早めに医療機関を受診しましょう。
症状が長引く前に原因を明らかにすることが、回復への第一歩です。