歩くと足指、特につま先が痛い場合に考えられる代表的な疾患と、特に「ピキっとした痛み」や「第4趾(薬指)付近のしびれ・違和感」があるケースに焦点を当てた解説です。

あわせて、どの診療科を受診すべきかについても説明します。

1. 足指・つま先の痛みで考えられる代表的な疾患

モートン病(Morton病)

足の中指と薬指の間(第3・4趾間)で神経が圧迫され、神経腫(モートン神経腫)や炎症が生じる状態です。

歩行時に「ピキッ」とした電気が走るような痛み、足趾先端までのしびれや違和感、小石が入ったような異物感が特徴で、靴を脱ぐと楽になることが多いです。

原因としては窮屈な靴・ハイヒール・長時間の立位・フォアフット着地のランニング・横アーチ低下(開張足)などが挙げられます。

外反母趾・開張足に伴う前足部痛

外反母趾自体や横アーチの崩れにより前足部へ負担が集中し、神経や関節にストレスがかかります。

モートン病を合併することもあります。

中足骨頭部痛(メタタルサルギア)

中足骨の付け根付近にかかるストレスが原因の痛みで、しびれ感は少なく押すと痛いことが多いです。

モートン病と症状が似るため鑑別が必要です。

中足骨の疲労骨折

ランニングや長時間歩行を続ける人に起こりやすく、初期は軽い痛みでも徐々に強くなります。

しびれより局所痛が主です。

痛風発作

典型的には第1趾(親指の付け根)に強い激痛を起こしますが、他の趾に出ることもあり、発赤・腫脹・熱感を伴います。

末梢神経障害(例:糖尿病性神経障害)

全体的なしびれや感覚鈍麻を伴う場合は全身性の神経障害の可能性があります。

片側だけ、あるいは局所のみの症状とは区別が必要です。

2. 「ピキっとした痛み」+「第4趾付近のしびれ・違和感」の場合

この組み合わせの症状は臨床的にモートン病がもっとも多く疑われます

特にハイヒールや細身の靴を履く女性、長距離ランナー、横アーチが崩れている人に多く見られます。

ただし、疲労骨折や滑液包炎、稀な腫瘍なども同じ部位に症状を出すことがあるため、自己判断は避け、専門の診察を受けることが重要です。

3. どの診療科へ行くべきか(優先順位)

整形外科(優先)

足の構造・骨・神経を総合的に診察できるため最初に受診すべき診療科です。

X線、超音波、必要に応じてMRIで診断が行われます。

フット&アンクル外来など足専門外来がある病院での受診が望ましいです。

ペインクリニック・麻酔科(紹介されることが多い)

痛みが強い場合やブロック注射などの処置が必要なときに整形外科から紹介を受けることがあります。

内科(糖尿病内科・神経内科)

両足に広くしびれがある、全身症状がある、血糖コントロールに問題があるなどの背景があれば並行して検査・診察を受けるとよいです。

皮膚科

痛みが魚の目・タコなど皮膚病変に由来する場合は皮膚科でも対応可能ですが、しびれ感がある場合はまず整形外科を受診してください。

4. 診断と治療の一般的な流れ(モートン病を例に)

問診・触診・誘発テスト

痛みの再現(例:Mulderテスト)や圧痛の確認。

画像検査

X線で骨の異常を除外し、超音波やMRIで神経腫の有無を確認することがあります。

保存療法

幅広でクッション性のある靴、インソール(横アーチ支持)、ハイヒールや過度のランニングの回避、神経ブロック注射やステロイド注射による一時的な炎症軽減、歩行フォームの改善など。

手術療法

保存療法で改善しない場合は神経腫切除などの手術が検討されます。

5. 自宅でできる注意点

  • 靴選び:幅広・低ヒール・クッション性の高い靴を選ぶ
  • 中敷き(インソール):横アーチをサポートするものを使用して神経への圧迫を減らす
  • 体重管理:過剰な体重は前足部への負担を増やすため注意する
  • 歩行改善:前足部への荷重を減らす歩き方(かかと寄りの着地)を意識する。ただし自己流で悪化することもあるため、専門家の指導が望ましい。

6. まとめ(早めの受診を推奨)

「歩くと足指・つま先が痛い」「ピキっとした痛み」「第4趾付近のしびれ・違和感」という症状は、モートン病がもっとも代表的ですが、疲労骨折・中足骨頭部痛・末梢神経障害など他の疾患でも同様の症状が出ます。

まずは整形外科(できれば足専門外来)で確定診断を受け、原因に応じた保存療法や必要に応じた処置を受けることが早期改善につながります。

自己判断での対処は症状の悪化や治療の遅れにつながることがあるため、早めに専門医で診てもらいましょう。