足の裏に痛みを感じたとき、「モートン病」や「足底筋膜炎」という病名を耳にすることがあります。

しかし、両者は原因も症状も異なる疾患です。

誤って自己判断してしまうと、適切な治療や生活改善が遅れてしまうこともあります。

ここでは、モートン病と足底筋膜炎の違いを、原因・症状・見分け方の観点から詳しく解説します。

モートン病とは?

モートン病(モートン神経腫)は、足の中指と薬指の間、または人差し指と中指の間などにある「足趾神経」が、周囲の靭帯や骨によって慢性的に圧迫されることで起こる神経障害です。

繰り返される刺激により神経が腫れて「神経腫」と呼ばれる状態になり、強い痛みやしびれを引き起こします。

原因としては、ヒールや幅の狭い靴、長時間の立ち仕事、ランニングなどで足先が圧迫されることが多く、女性に多い傾向があります。

最近では、歩き方や足の着地パターンが関係していることが指摘されており、歩き方の改善がモートン病の完治に繋がることが判明しています。

モートン病の主な症状

  • 足指の付け根(中足骨頭部)に鋭い痛みや灼熱感がある
  • 特に歩行時や長時間の立位で痛みが強くなる
  • 指の間に小石が挟まったような違和感がある
  • 足指にしびれや感覚異常が起きることがある
  • 靴を脱いで足を休めると症状が軽減することが多い

このように、モートン病は「神経が圧迫されることによる痛みやしびれ」が特徴です。

特に第四趾(薬指)付け根あたりに症状が出ることが多く、電気が走るような痛みがある場合はモートン病の可能性が高まります。

足底筋膜炎とは?

足底筋膜炎は、かかとの骨から足指の付け根にかけて広がる「足底腱膜(足底筋膜)」が、繰り返しの負担や微細な損傷によって炎症を起こす病気です。

ランナーや長時間立ち仕事をする人、中高年層に多く見られます。

足底腱膜は、歩行時に足のアーチを支える重要な役割を担っていますが、過剰な負荷がかかると炎症が生じ、痛みが出ます。

特に肥満、急な運動増加、扁平足などがリスクになります。

足底筋膜炎の主な症状

  • かかとの内側から土踏まずにかけての痛みが主体
  • 朝起きて最初の一歩が特に痛い(いわゆる「朝の一歩痛」)
  • 歩き続けるうちに徐々に痛みが和らぐこともある
  • 走ったり長時間立った後に痛みが増強する
  • しびれは基本的に伴わない

足底筋膜炎は神経ではなく「腱膜(靭帯)」の炎症が原因なので、しびれや感覚異常はあまり見られません。

痛みの部位もモートン病とは異なり、主にかかと〜土踏まず周囲に集中しています。

モートン病と足底筋膜炎の違い(原因・部位・症状の比較)

項目 モートン病 足底筋膜炎
原因 足趾神経の圧迫(靴、歩行、繰り返しの刺激) 足底腱膜の炎症(過剰負荷、扁平足、肥満など)
痛みの部位 足指の付け根(中足骨頭部)、特に第3・4趾間 かかとの内側〜土踏まず
痛みの性質 鋭い痛み、灼熱感、電気が走るような感覚 鈍い痛み、押すと痛い、朝起きた直後が特に痛い
しびれ あり(神経障害性) 基本的になし
誘因 ヒール・幅の狭い靴、長時間立位・歩行、ランニング ランニング、長時間立位、肥満、加齢

このように、モートン病は「神経の圧迫による痛み・しびれ」、足底筋膜炎は「腱膜の炎症によるかかとの痛み」が特徴です。

症状の出る部位・痛みの性質・しびれの有無が、両者を見分けるポイントになります。

見分け方のポイント

痛みの場所をチェックする

モートン病は足指の付け根、足底筋膜炎はかかと〜土踏まずに痛みが出るため、まず痛む部位を明確にすることが重要です。

しびれの有無を確認する

モートン病ではしびれや感覚異常が出やすく、足底筋膜炎では基本的にしびれは出ません。

電気が走るような痛みがある場合は神経障害の可能性が高く、モートン病が疑われます。

朝起きたときの痛みを確認する

足底筋膜炎では、朝起きて最初の一歩が特に痛い「朝の一歩痛」が典型的です。

モートン病は起床時よりも「歩行中・靴を履いたとき」に痛みが強くなる傾向があります。

靴やインソールの影響を見る

幅の狭い靴やヒールで悪化するのはモートン病、長時間の立位や走行で悪化するのは足底筋膜炎という傾向があります。

履物を変えることで痛みが軽減する場合、その反応から病態を推測することができます。

受診先と治療の考え方

どちらの病気も整形外科(特に足の疾患に詳しいクリニック)で診断・治療を受けられます。

モートン病は神経障害が主体のため、圧迫を減らす靴選び・インソール調整・歩行改善が中心です。

足底筋膜炎は炎症が主体なので、ストレッチ・アイシング・足底筋膜の負荷軽減(インソールやテーピング)が重要です。

いずれも、早期に正しい診断と対策を行うことで手術を回避できる可能性が高くなります。

自己判断せず、症状の部位・性質・発症状況を整理して受診することが大切です。

モートン病と足底筋膜炎も発生する原因は同じで、歩き方の問題

モートン病と足底筋膜炎は、いずれも足裏に痛みを起こす代表的な疾患ですが、原因・症状・痛む部位・しびれの有無が大きく異なります。

  • モートン病:足指の付け根、神経圧迫、しびれや電気痛が特徴
  • 足底筋膜炎:かかと〜土踏まず、腱膜炎症、朝の一歩痛が特徴

見分け方としては「痛む部位」「しびれの有無」「朝の痛み」の3点をチェックするのがポイントです。

モートン病と足底筋膜炎も発生する原因は同じで、歩き方の問題です。

歩行時に地面に打ち付ける場所によって別の症状として現れます。

歩行指導のない整形外科や整骨院、整体院では治りませんので注意が必要です。