足の指が「ビリビリする」「チクチクする」「しびれる」といった感覚は、神経や血流、骨・関節の問題など複数の原因で起きます。
ここでは代表的な病気ごとに特徴・原因・治し方を整理し、受診の目安や予防法までをまとめます。
考えられる主な病気
モートン病(モートン神経腫)
モートン病は、第3趾(足の中指)と第4趾(足の薬指)の間に多く、前足部に「小石が入っているような感覚」「灼熱感」「ビリビリ」を覚えます。
歩行や狭い靴で悪化することが多いです。
原因
前足部への繰り返しの衝撃、足部の構造的要因などで神経が靭帯と骨に挟まれ摩耗・肥厚して神経腫ができることが原因です。
治し方
まずは保存療法:幅のある靴やクッション性の高い靴に替える、インソールやパッドで圧迫を軽減、NSAIDsなどの鎮痛薬や外用薬。
改善が乏しければ神経ブロック注射。
保存療法で効果がなければ外科的に神経腫を切除することがあります。
完治には、歩行改善で足裏に掛かる荷重バランス調整が必要です。
末梢神経障害(ニューロパチー)
末梢神経障害(ニューロパチー)は、両足先端から始まることが多く、左右対称にビリビリ・チクチク・しびれ・灼熱感が広がる傾向があります。
進行すると感覚鈍麻や運動障害を伴う場合もあります。
原因
最も多いのは糖尿病性ニューロパチー(高血糖による神経障害)。
その他、アルコール多飲、ビタミンB群欠乏、薬剤(抗がん剤など)、甲状腺障害、遺伝性疾患などが原因になります。
治し方
原因治療が基本:糖尿病なら血糖コントロール、栄養不足ならビタミン補充、薬剤性なら原因薬の変更。
症状緩和にはプレガバリンやデュロキセチン等の神経障害性疼痛薬、外用薬、適度な有酸素運動や理学療法で血流改善を図ります。
腰由来の神経障害(坐骨神経痛・腰部脊柱管狭窄症)
腰〜お尻〜太もも〜ふくらはぎ〜足先へと放散する痛みやしびれがあり、長時間歩行で悪化し休むと軽快する「間欠性跛行」が見られることもあります。
原因
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄、加齢による変性で神経根や馬尾が圧迫されるために発生します。
治し方
保存療法(鎮痛薬、理学療法、神経根ブロック)、重症例や麻痺・排泄障害を伴う場合は手術適応となります。
原因の腰疾患を整形外科で評価することが重要です。
閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)
歩行時の疲労・痛み、冷感、蒼白、重度では安静時疼痛や潰瘍・壊死が生じます。
しびれやビリビリ感を伴うこともあります。
原因
動脈硬化による血管狭窄・閉塞で下肢への血流が不足するため起きます。
糖尿病・喫煙・高血圧・高脂血症がリスクです。
治し方
生活習慣改善(喫煙中止・運動・血管リスク管理)、薬物療法(抗血小板薬、血管拡張薬)、血行再建(血管内治療やバイパス手術)が必要になることがあります。
早期発見が重要です。
その他の可能性
- ビタミン欠乏(B1,B12など)や甲状腺機能低下
- 薬剤性(特に一部の抗がん剤や抗HIV薬)
- 末梢神経の外傷・圧迫(靴や足の変形によるもの)
- 感染や免疫性疾患(まれに原因となる)
受診の目安・検査
次のような場合は早めに医療機関を受診してください。
- 急速に悪化する
- 片側だけ強い症状が出る
- 歩行や排尿排便に障害がある
- 皮膚色や温度の変化
- 潰瘍や傷がある
- 糖尿病の既往がある
足の指のビリビリは原因が多岐にわたり、放置すると重篤化
足の指のビリビリは原因が多岐にわたり、放置すると重篤化することがあります。
まずは症状の出方(左右差、範囲、時間帯、悪化要因)を観察し、必要な検査を受け原因を特定することが重要です。
軽度であれば靴の改善やインソール、生活習慣の見直しで改善する場合もありますが、糖尿病や血行障害、神経圧迫が疑われる場合は専門医の受診をおすすめします。