モートン病(モートン神経腫)は、足の指の付け根付近の神経が圧迫されることで「ビリビリとしたしびれ」「灼熱感」「小石を踏んでいるような違和感」が生じる病気です。
保存療法(靴の改善やインソール、薬物療法など)で改善しない場合、最終的な治療法として「手術」が選択されることがあります。
ところが、手術を受けても「しばらくして再び痛みやしびれが戻ってきた」という人は少なくありません。
なぜモートン病は手術をしても再発することがあるのでしょうか?
手術の内容とその限界、そして真の原因に焦点をあてて詳しく解説していきます。
モートン病の手術とは何をするのか?
モートン病の手術には大きく分けて2つの方法があります。
1. 神経腫の切除
最も一般的なのは、炎症や圧迫によって肥厚した神経(神経腫)を取り除く手術です。
足の甲側や足底から皮膚を切開し、神経の一部を切除します。
神経腫が取り除かれることで、物理的な圧迫が解消され、痛みやしびれの改善が期待されます。
2. 靭帯の切開
もうひとつは、神経を圧迫している横中足靭帯を切開して、神経にかかる負担を減らす方法です。
こちらは神経を残すため、感覚の鈍麻リスクが少なく、負担も軽めとされています。
いずれの手術も「神経に対して加わっている圧迫を取り除く」ことが目的です。
しかし、これはあくまでも「対症療法」であり、モートン病の根本原因を取り除くわけではありません。
手術後に再発する理由
手術をしたのに数か月~数年後に再び症状が出ることがあります。
その主な理由は以下の通りです。
1. 神経そのものは残っている
神経腫を切除しても、神経自体は残っているため、再び摩耗や圧迫を受けると新たな神経腫が形成される可能性があります。
特に神経が分岐している部分は構造的に負担がかかりやすく、再発リスクが高いです。
2. 負担のかかる歩き方が変わっていない
モートン病の真の原因は「足裏への体重のかかり方」にあります。
具体的には、上半身の重心バランスが崩れて前足部に過度な体重が集中する歩き方をしている人が、繰り返し神経にストレスを与えます。
手術をしても歩き方が変わらなければ、また同じ場所に負担がかかり、再発してしまうのです。
3. 足の構造的要因が残っている
外反母趾や偏平足、開張足など足のアーチ構造の異常がある人では、前足部の横方向の広がりが大きくなり、神経が圧迫されやすくなります。
手術ではこれらの足の形そのものを改善するわけではないため、再発が起こり得ます。
モートン病の本当の原因は歩き方にある
一般的には「靴が原因」とされがちですが、実際にはそれだけではありません。
多くの専門家が注目しているのは「歩き方の癖」や「体の使い方」です。
前足重心の歩き方
かかとから着地せず、常に前足部に強い負担をかけて歩く人は、神経への圧迫が強くなります。
特にランナーやヒールを多用する人に多く見られます。
重心バランスの崩れ
猫背や反り腰など姿勢の乱れは、体の重心を前方に移動させ、前足部に体重を集中させます。
その結果、モートン病が発症しやすくなります。
アーチの崩れ
足の横アーチが崩れて「開張足」になると、中足骨間が広がり、神経がより圧迫されやすくなります。
歩行の着地衝撃を吸収できず、炎症が繰り返されるのです。
歩き方改善が再発防止のカギ
モートン病を本当に治すには「手術」ではなく「歩き方の改善」が欠かせません。
また、前足に体重が乗らないような姿勢になることも大切です。
歩き方を変えると痛みは1ヵ月程度で改善されます。
靴とインソールの見直し
靴やインソールで補助することも大切ですが、それはあくまでも「サポート」です。
根本は歩行習慣の改善にあります。
モートン病の手術は、一時的な対処なので再発する
モートン病の手術は、圧迫された神経を取り除くか、靭帯を切開することで症状を和らげる方法です。
しかし、これは一時的な対処に過ぎず、歩き方や体重のかけ方といった根本的な原因を解決しなければ再発する可能性が高い病気です。
手術後も症状が戻ってしまう人がいるのは、まさにこの「歩き方の改善」が行われていないためです。
モートン病を本当に治すには、靴やインソールの工夫だけでなく、正しい歩き方を身につけることが不可欠なのです。