モートン病(Morton’s neuroma)は、足の中指(第3趾)や薬指(第4趾)の付け根あたり、特に裏側に痛みやしびれを引き起こす疾患です。
主な原因は、足の神経が圧迫や刺激を受けることにより、神経が肥厚してしまうことです。
足の裏には、足指を動かすための神経や筋肉、腱、靭帯などが密集しています。
モートン病では中足骨間靭帯という靭帯の下で、足底神経が圧迫されることで炎症が起き、痛みを引き起こします。
特に、第3と第4中足骨の間に発症しやすいのが特徴です。
モートン病の主な原因
モートン病が起きる背景には、さまざまなことが言われています。
一般的に言われている原因について紹介します。
靴の影響(締め付け・ヒール)
モートン病の最大のリスクファクターは靴の影響です。
ハイヒールやつま先の細い靴を長時間履くと、前足部に体重が集中します。
細身のパンプスでは足指が圧迫されることで中足骨間の隙間が狭くなり、神経が圧迫されやすくなります。
この状態が続くと、神経が慢性的な摩擦や圧迫を受け、炎症を起こしてしまいます。
特にハイヒールをよく履く女性に多く発症することから、「ハイヒール病」と呼ばれることもあります。
ですが、ハイヒールを履いていない方でも発症します。
なので、これが根本的な原因ではありません。
足の構造的な問題
足の構造自体がモートン病を引き起こす素地となることもあります。
特に足が過剰回内になり、足裏の一部に体重が乗る形になると、発症しやすいです。
体重増加・肥満
体重が増えると足にかかる負荷も増大します。
特に歩行時や立位時には体重の数倍もの負荷が前足部にかかるため、神経の圧迫や中足骨間の摩擦が増し、モートン病を悪化させやすくなります。
肥満はモートン病の原因ではないのですが、悪化の原因にはなります。
運動やスポーツによる負荷
スポーツ、特にマラソンやランニング、バスケットボールなどでは足の前部に大きな負荷がかかります。
ジャンプの着地や急激な方向転換で足指や中足骨間に圧力がかかりやすくなります。
長距離ランナーは反復的な負荷で神経の肥厚や炎症を起こしやすくなります。
普段あまり運動していない人が急に運動を始めた場合にも発症することがあります。
運動をやめても症状が続く場合は、他の要因が原因です。
年齢・性別
モートン病は40代から60代の女性に多く見られます。
加齢に伴う足のアーチの低下や靭帯の緩み、筋力低下が影響していますと言われていますが、これは間違いです。
男性でも発症します。
神経自体の過敏性
まれに、神経自体が過敏になっているケースもあります。
糖尿病による末梢神経障害などが背景にある場合、神経が通常よりも傷つきやすくなります。
また、神経炎や他の神経疾患がモートン病の症状を悪化させることもあります。
モートン病の本当の原因は、歩き方の問題
一般的には、上記の様に言われていますが、モートン病が発症する原因は、「歩き方」です。
上半身の体のバランス崩れが、足の過剰回内を誘発し、足裏への体重の乗り方が偏ります。
その状態で、足裏の体重の重心移動が
- かかと
- 痛む部分
- つま先
という流れになっています。
さらに痛む部分で、地面を打ち付けるような歩き方をしているために
歩く度に、痛む部分に体重を乗せて、地面を蹴っている状態
になります。
そうすると、炎症が発生して、神経腫(しんけいしゅ)を生み出します。
これがモートン病になるメカニズムです。
整形外科でいくら痛み止め注射をしても良くならない理由がこれです。
足のつま先のピリピリや足のしびれの原因
炎症による神経の線維化や肥厚が進行し、さらに神経への圧迫が悪化します。
その結果、圧迫されるたびに電気が走るような痛みやジンジンするしびれが生じます。
このプロセスが慢性化すると、通常の歩行や立位でも強い痛みを感じるようになります。
足のつま先のピリピリや足のしびれを治すには歩行改善
モートン病は、靴の選び方、足の構造、体重、運動習慣、加齢など、さまざまなことが原因といわれていますが、全て見当違いです。
なかなか治らない痛みやしびれは放置せず、早めに歩行改善に取り組むことが悪化を防ぐカギです。
痛む部分で蹴り出す歩き方が改まると、痛みは1ヵ月程度、神経腫は半年程度で消失します。