モートン病(モートン神経腫)は、主に足裏の前足部(足指の付け根の下)に痛みやしびれを生じる疾患です。
典型的には「第3・4趾の間」(中指と薬指の間)の神経が圧迫されることが多いです。
足の甲や指先に放散する痛み、電気が走るような感覚、しびれなどを訴えるケースが多くみられます。
しかし、必ずしもこの部位に限られるわけではありません。
構造的な要因によっては、小指側(第4・5趾の間、第5趾付け根付近)にも痛みが生じることがあります。
- 足の小指にしびれがある
- 足の小指がビリビリする
- 足の小指に感覚がない
など、小指側にモートン病が痛みを起こす可能性、その発生理由、受診すべき診療科、さらに根本的な改善を目指すために必要なことについて解説します。
モートン病とは?
モートン病は、足指へ走行する神経が足趾の付け根付近(中足骨頭部)の靭帯や周囲組織により圧迫され、神経に炎症や肥厚(神経腫)が生じる状態を指します。
特に前足部の横アーチ(中足横アーチ)が崩れ、足指の付け根部分に過度な圧力がかかることが大きな原因です。
ハイヒールや細身の靴、長時間の立ち仕事、強い蹴り出しの歩行・ランニングなどが重なると、神経への圧迫が強まりやすくなります。
小指側(第5趾付け根付近)にも痛みが出る可能性
モートン病は典型的には「第3・4趾間神経」に発症することが最も多いですが、解剖学的には第2・3趾間、第4・5趾間でも同様のメカニズムが起こり得ます。
つまり、足裏の小指付け根付近(第5趾側)に痛みやしびれが出る可能性も十分にあります。
特に以下のような条件が揃う場合、小指側で症状が強く出る傾向があります。
- 外反小趾(小指が外側に曲がる変形)や小趾側の靴圧迫が強い
- 横アーチの低下によって第4・5趾間神経が圧迫されている
- 歩行・ランニングで小指側に荷重が集中している
- 幅の狭い靴や硬い靴底を長時間使用している
このような背景があると、モートン病の症状が小指の付け根付近に現れることは臨床上まれではありません。
痛みの特徴としては、歩く・走る・立つなどの動作で増悪し、脱いで休むと軽減する傾向があります。
指の間を圧迫するとしびれや放散痛が誘発されることが多いです。
モートン病が発生する主な理由
モートン病は単なる神経炎症ではなく、足部の構造と使い方に深く関連しています。
主な原因は以下の通りです。
1. 横アーチの低下
足の指の付け根には中足骨が扇状に並び、その下に横方向のアーチ(中足横アーチ)が存在します。
加齢、体重増加、合わない靴、長時間の立位や歩行によってこのアーチが崩れると、神経が走行するスペースが狭くなり圧迫が強まります。
2. 靴による圧迫
ヒールの高い靴やつま先の狭い靴は、足先に荷重を集中させ、神経への圧迫を助長します。
特に女性に多い理由のひとつです。
3. 歩き方・ランニングフォーム
地面を強く蹴り出す歩き方、足指の付け根で強く着地するような走法は、前足部に過剰な負担をかけます。
モートン病の患者の多くに、こうした歩行・ランニングの癖が認められます。
4. 足部変形や合併症
外反母趾・外反小趾、扁平足、肥満など、足部の構造的な要因があると神経への負担が増し、モートン病が発生しやすくなります。
受診するべき診療科
モートン病が疑われる場合は、整形外科(特に足の外来があるところ)や足専門のクリニックを受診するのが基本です。
整形外科では、問診・触診・圧痛テスト・超音波検査・MRIなどを用いて診断します。
足の神経や靭帯の病変はレントゲンでは分かりにくいため、神経腫の有無や炎症の程度を評価するために超音波やMRIが有用です。
また、足病医(ポダイアトリスト)がいるクリニックや、歩行指導を併設している整形外科・整体院も近年増えており、単なる投薬や注射だけでなく根本改善のための指導が受けられる場合があります。
完治を目指すには歩行改善が不可欠
モートン病に対しては、足底板(インソール)、薬物療法(消炎鎮痛薬)、ステロイド注射(神経ブロック注射)などが行われます。
これらは痛みを一時的に和らげる効果が期待できますが、根本的な解決には至らないことが多いです。
なぜなら、神経を圧迫している「歩行動作」や「荷重パターン」が変わらない限り、再び同じ部位に負担がかかるからです。
実際、近年は歩行改善プログラム(例:ゆるかかと歩きなど)を導入することで、再発防止や痛みの長期的改善につながる症例が増えています。
歩行改善を取り入れることで、足の神経への慢性的な圧迫が減り、症状の改善・再発防止・根本治癒に近づけます。
特に小指側に痛みが出ている場合は、足の外側に荷重が偏っているケースが多いため、その点を重点的に修正することが有効です。
モートン病は条件次第では小指側(第5趾付け根付近)にも痛みが出る可能性も
モートン病は典型的には中指と薬指の間に発症しますが、条件次第では小指側(第5趾付け根付近)にも痛みが出る可能性があります。
原因は横アーチの崩れや靴による圧迫、歩行・ランニングフォームなど足部への慢性的負荷です。
疑われる場合は整形外科など足専門医を受診し、必要な検査と診断を受けることが大切です。
投薬や注射は一時的な痛みの軽減には役立ちますが、根本的な改善には歩行改善が不可欠です。
歩行改善ができると、痛みは1ヵ月程度、神経腫の消失は、半年程度で可能です。