「モノトーン病」という病名は医学的には存在しません。

おそらく「モートン病(Morton’s neuroma)」のことです。

この二つの単語は音が似ており、口頭でのやり取りや聞きなれない言葉として誤って認識されることがよくあります。

以下では「モノトーン病」とは、実際には足の神経障害である「モートン病」を指すものとして、その症状、原因、診断、治療法、そして予防策について、専門的な知見に基づきながらも分かりやすく、解説します。

モートン病(Morton’s neuroma)とは

モートン病は、足の指の付け根、特に第3趾と第4趾(中指と薬指)の間に位置する神経が、繰り返し圧迫されることで生じる神経の障害です。

医学的には「神経腫」と呼ばれますが、これは腫瘍(ガン)ではなく、神経の周りの組織が線維化して厚くなった良性の変化を指します。

この肥厚した神経が周囲の骨や靭帯に挟まれることで、さまざまな不快な症状を引き起こします。

この病気は、特に女性に多く見られる傾向にあります。

その主な要因として、ハイヒールや先の尖ったパンプスなど、足に負担をかける靴の着用習慣が挙げられます。

症状

モートン病の症状は非常に鮮烈で、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

  • 足の裏の鋭い痛み: 最も典型的な症状です。歩行時や長時間立った後に、足の指の付け根、特に特定の場所に「ピリッ」としたり、「チクチク」したりする鋭い痛みが走ります。まるで小石を踏んでいるような感覚を訴える人も少なくありません。
  • 灼熱感: 痛みに加えて、足の裏が熱く焼けるような感覚、あるいはヒリヒリとした灼熱感を伴うことがあります。
  • しびれと感覚異常: 痛みのある部分から足の指先にかけて、しびれやピリピリとした感覚、または感覚が鈍くなることがあります。これは、神経が圧迫されて機能が低下しているためです。
  • 異物感: 「靴の中に何か小石が入っている」とか、「靴下の継ぎ目がちょうどそこにある」といった、不快な異物感を感じることがあります。
  • 痛みの増悪: 痛む場所を指で押したり、つま先立ちをしたり、足の指を反らしたりすると、痛みが強くなることが特徴的です。
  • 安静時の改善: 多くのケースで、靴を脱いで足を休めると症状は一時的に和らぎます。しかし、再び歩行を始めると症状が再発します。

症状の程度は個人差があり、最初は軽微な違和感から始まり、次第に痛みが強くなるのが一般的です。

原因

モートン病の最大の原因は、足の指に向かう神経への慢性的な圧迫と摩擦です。

なぜ圧迫されるのか?ですが、これは上半身の重心バランスの不均衡が引き起こします。

上半身のバランスが崩れて、足でそのバランスを戻そうとするために、前足付近に体重と力が乗っています。

その状態で、地面を蹴り出すような歩き方をすると、少しずつ炎症が起こり、神経腫を形成します。

中高年にモートン病が多い理由は、このためです。

診断、どうやってモートン病を見つけるか?

モートン病の診断は、整形外科医が行います。

  1. 問診と身体検査: 症状がいつから、どのような時に現れるのか、痛みの性質や場所などを詳しく聞きます。
  2. 画像検査:
    • X線(レントゲン): 骨の異常を確認し、他の病気と鑑別します。
    • 超音波(エコー)検査: 神経腫の有無や大きさを確認するのに有効です。
    • MRI検査: 超音波よりも詳細な画像が得られ、神経腫の正確な位置を評価するのに役立ちます。

これらの検査を通じて、モートン病であるという確信が得られます。

治療法

モートン病の治療は、症状の程度や病気の進行度に応じて、段階的に進められます。

まずは保存療法(手術をしない治療)が第一選択となります。

1. 保存療法

  • 靴の改善: ヒールの低い、つま先に十分なゆとりのある靴に履き替えます。
  • インソールの使用: 中足骨パッドが付いたインソールを使用することで、神経への圧迫を軽減します。
  • 薬物療法: 痛み止めの内服や、神経ブロック注射を行います。
  • 物理療法: 足のストレッチや筋力トレーニングで筋肉をほぐします。

2. 手術療法

保存療法を半年以上続けても症状が改善しない場合は、手術が検討されます。

  • 神経腫摘出術: 痛みのある神経腫そのものを摘出する手術です。
  • 神経除圧術: 神経を圧迫している靭帯を切開し、神経への圧迫を取り除く手術です。

手術は通常、局所麻酔で行われ、日帰りまたは短期の入院で行うことが可能です。

3.歩行改善

保存療法も、手術療法も一時的な痛みの緩和が目的です。

完治には、上半身のバランスの修正と、足裏を地面に打ち付けるような歩き方の習得が必要です。

歩行改善ができて、足裏への刺激が減ると、1ヵ月程度でモートン病の痛みは和らぎます。

「モノトーン病」という言葉は、医学的には「モートン病」を指している

「モノトーン病」という言葉は、医学的には「モートン病」を指していると考えられます。

この病気は、足の指の付け根の神経が圧迫されることで、鋭い痛みやしびれを引き起こすものです。

  • 症状:足の裏の痛み、灼熱感、しびれ、異物感など。
  • 原因:ハイヒール、先の狭い靴、開張足、長時間の立ち仕事など。
  • 治療法:保存療法(靴の改善、インソール、注射)が基本。効果がない場合は手術を検討。歩行改善で完治。

もし、ご自身の足に同様の症状を感じている場合は、早めに整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。

専門家による早期の対応が、症状の改善と再発防止につながります。