モートン病(Morton’s neuroma)は、足の中指と薬指の間などにある足趾神経が慢性的に圧迫されることで炎症・肥厚し、痛みやしびれ、灼熱感が起こる病気です。
女性に多く、ヒールや幅の狭い靴、つま先立ちの姿勢などがリスク要因とされます。
ただ、本当の原因は、幅の狭い靴ではないので、男性でも見られる症状です。
モートン病は自分で治せる症状ですが、効果があると言われるセルフケアに効果がなかったり、意外なセルフケアで完治が可能であったり、情報が混乱しています。
モートン病のセルフケアについてまとめました。
巷で言われているセルフケア
モートン病に効果がある、と言われてるセルフケアについてです。
靴の見直し
つま先が広く、足指が自由に動かせる靴を選ぶこと、ヒールの低い靴(2cm以下)にすること、中敷き(インソール)を活用し足の横アーチをサポートすることが重要です。
神経への物理的圧迫を減らせるセルフケアです。
整形外科医や足病医も推奨していますが、根本的な原因を取り除くものではないです。
一時的にモートン病の痛みを和らげるだけで完治はしません。
体重のかけ方・歩行フォームの改善
仕事で体の片方だけを使うことが多い人は、上半身の重心バランスが崩れがちです。
崩れた上半身のバランスを下半身で戻そうとするため、足に過度な負担が掛かります。
その状態で、「地面を打ち付けるような歩き方」をすると、前足部に炎症が起こりやすくなり、神経を圧迫します。
これがモートン病の根本的な原因です。
最近注目されている「歩行改善」や「姿勢改善」で重心バランスが取れた姿勢や、打ち付けない歩き方ができるようになると症状が激的に改善します。
足趾・足裏の柔軟性確保
ふくらはぎのストレッチ、足裏のマッサージ、足指の軽いグーパー運動は、直接「神経の腫れ」を治すわけではありません。
なので、推奨する整体院や整骨院がありますが、効果はありませんので注意が必要です。
体重管理
体重増加は前足部荷重の増大に直結するため、適正体重の維持がセルフケアの基本になります。
温冷療法(急性炎症期は冷却・慢性期は温める)
急に痛みが強まった時はアイシングで炎症を抑え、慢性化して血流が悪い時期は足浴や温めで循環を良くします。
補助的ですが、多くの患者が痛みの軽減を感じています。
ただし、一時的な症状改善で、完治には至りません。
足指体操
「足指を強く開く」「ゴムバンドで強く鍛える」など、患部周囲に強いストレスをかける運動は逆効果になることがあります。
モートン病は神経が圧迫されているため、過剰な筋トレや過伸展でかえって神経を刺激し痛みを増悪させる例が報告されています。
足裏の強い指圧やマッサージ
「硬い棒で押す」「ゴルフボールを強く踏む」などのセルフマッサージは、神経の腫れを悪化させる危険があります。
そもそも炎症が起こっていますので、患部に圧をかけるのはNGです。
テーピング・サポーターへの過度な期待
アーチサポート型や中足骨パッド付きのサポーターは一時的に楽に感じることがあります。
根本的に神経の圧迫を取り除けるわけではありません。
痛みの軽減の補助としては有用ですが、装着だけで「治る」ものではありません。
鍼灸や電気治療での「完治」宣伝
血流改善や鎮痛の補助的な効果は否定できませんが、神経の物理的圧迫を取り除けるわけではありません。
そのため、モートン病が発症する原因から考えると根治的効果は乏しいのが現状です。
歩行改善と併用するなら痛み緩和に役立つこともありますが、単独で「治る」とは考えにくいです。
患部の過剰な温熱・冷却
長時間の温浴や過剰なアイシングは逆効果になることがあります。
短時間・適度な温冷療法が原則です。
セルフケアの基本的な考え方
モートン病は「神経が圧迫されて起こる症状」なので、セルフケアの目的は
- 神経への圧迫を減らす
- 荷重を分散する
- 炎症を鎮める
にあります。
靴選び・歩行改善・体重管理が根幹で、ストレッチや温冷療法は補助的です。
一方で、神経を直接押したり、患部に強い負荷をかける運動は悪化のリスクがあるため、SNSやYouTubeで見かけた方法をそのまま自己流で行うのは避けた方が良いでしょう。
症状が進んで強い痛みが続く場合は、整形外科での診断(エコー・MRIなど)を受け、一旦インソールや注射などの保存療法を検討することが必要です。
最終的には、炎症を起こさない歩き方の習得が必要です。
モートン病のセルフケアは、歩き方の改善が最も効果のある方法です。