モートン病(モートン神経腫)による前足部の痛みを和らげるための考え方と具体的な対処法を、一般的な方法から最新の情報まで交えて解説します。

モートン病の痛みとは

モートン病(Morton神経腫)は、足指の付け根にある神経が圧迫されて肥厚し、痛みやしびれを生じる疾患です。

特に中指と薬指の間、または人差し指と中指の間に起きやすく、

「つま先立ちをするとズキンと痛い」
「歩くと石を踏んだような違和感がある」
「指の間がしびれる」

といった症状が特徴です。

進行すると安静時にも痛みが出たり慢性化することがあるため、早めの対策が重要です。

痛みが起こる仕組み

モートン病は複数の要因が重なって神経が圧迫されることで発症します。

主な要因は以下の通りです。

  • 体重増加や、上半身の重心のずれによる負担
  • 前足部に過剰な荷重がかかる(ハイヒール・先の細い靴・長時間立ち仕事など)
  • 偏平足や開張足(横アーチの崩れ)により神経が圧迫されやすくなる
  • 蹴り出し方や歩き方の癖(前足部へ強く荷重する歩行)

これらが重なると神経が肥厚・炎症を起こし、痛みやしびれが生じます。

痛みを和らげる基本的な考え方

対処の基本は次の3点です。

  1. 神経への物理的圧迫を減らす
  2. 炎症を鎮める
  3. 足全体の荷重バランスを改善する

保存療法(手術以外の方法)

靴の見直し

初期・軽症で最も効果が期待できるのは靴の改善です。

つま先にゆとりのある靴、前足部の圧迫が少ない形状を選び、ヒールは可能な限り低く(目安は3cm以下)することが推奨されます。

靴の横幅(ワイズ)を合わせることも重要で、足先に余裕ができるだけで症状が軽減することがあります。

ただし、靴が原因ではないので、痛みは無くなりません。

あくまでも「痛みを少し和らげる」ということが目的です。

インソール(足底板)

整形外科や義肢装具士によるオーダーメイドのインソールは、横アーチを支えて前足部の過負荷を軽減する効果があります。

市販品でもメタターサルパッド(前足部パッド)を入れることで痛みが和らぐことがあります。

ただ、根本的な解決にはなりませんので、痛みが軽減したからといって、放置しないでください。

テーピング・サポーター

横アーチを補助するテーピングやサポーターを用いると、指の間の神経圧迫が軽減されます。

セルフケアとしての簡単なテーピング法は理学療法士や整形外科で指導を受けると安心です。

テーピングは一時的な効果でしかないので、わざわざお金を出して継続するものではありません。

本当の痛みの解消には、根本的な原因に対する治療をして下さい。

薬物療法・注射療法

炎症が強い場合、整形外科でNSAIDsや湿布が処方されることがあります。

痛みが強い場合や保存療法で改善しない場合には、局所麻酔薬とステロイドの組み合わせによる神経ブロック注射が行われ、一時的に強い痛みが取り除かれ炎症も鎮まることがあります。

薬はあくまでも一時的です。

また、徐々に効果は無くなりますので、痛みが和らいでいる間に根本的な改善に取り組んで下さい。

生活習慣・セルフケアでできること

体重管理

体重増加は前足部への荷重を増やし、症状を悪化させます。

適正体重の維持は痛みの軽減に有効です。

ただし、モートン病の痛みの原因である神経腫が出来ている場合は、痩せたとしてもなかなか解消しません。

足のストレッチ・筋力トレーニングは意味ありません

足趾のグー・チョキ・パー運動やタオルギャザー(床のタオルを足指でたぐり寄せる運動)などで足部の筋力を高め、アーチを支える力を強化と言われています。

これらはモートン病の痛みの軽減に対しては意味ありません。

逆に悪化させますので、このような指導があった整形外科や整体院、整骨院などへは行かないでください。

長時間の立位・歩行の調整

仕事などで長時間立ち続ける場合はこまめに休憩を取り、足を休ませることが重要です。

炎症が強い時は冷却(アイシング)を10分程度行うと痛みが和らぐことがあります。

モートン病の痛みを根本的に和らげるには「歩き方の改善<」/h2>

近年、歩行改善がモートン病の改善で実績を出している例が増えています。

具体的には次のような点が指導されます。

モートン病の痛みの原因は、足先が炎症を起こし、神経腫が出来ることです。

炎症を起こす理由は、上半身の重心バランスの崩れから、足先にに体重がかかる状態になり、体重をのせて地面を打ち付けるような歩き方をしているためです。

歩く度に、体重を乗せて地面を打ち付ける歩き方をしてるために炎症がおこります。

ですので、打ち付ける歩き方を改善するだけでも痛みは和らぎます。

歩き方を変えると、痛みは1ヵ月程度、神経腫の消失は半年程度で可能です。

最新の治療・手術的選択肢

保存療法で改善しない場合、外科的治療が検討されます。

代表的なものは以下です。

  • 神経腫切除術(神経腫の摘出)
  • 神経の圧迫を解放する手術(神経剥離術など)

手術は多くの場合、長年の疼痛を大幅に軽減する効果が期待できますが、手術適応や術式は患者さんの状態や病院によって異なります。

近年は超音波ガイド下での硬化療法(アルコール注射)等、低侵襲な選択肢も報告されています。

まずは整形外科や足の外科がある施設で相談することが重要です。

まとめ

モートン病の痛みを和らげるためには、

  • つま先にゆとりのある靴やインソールで神経への圧迫を減らす
  • テーピングやサポーターで横アーチを補助する
  • 炎症が強いときは薬物療法や注射療法を検討する
  • 体重管理・足の筋力トレーニング・ストレッチを行う
  • 歩き方を改善して根本的な負荷を減らす

これらを組み合わせて対処することで、多くのケースで症状は改善します。

痛みが強い、長引く、または症状が悪化している場合は自己判断せず、整形外科や足専門医に相談して適切な診断と治療方針を立ててもらいましょう。