足のトラブルの中でも「モートン病」と「開帳足(かいちょうそく)」は、よく関連づけて語られることがあります。

モートン病に悩む方の中には、整形外科や治療院などで「開帳足が原因でモートン病になっている」と説明を受けた方も少なくないかもしれません。

しかし実際のところ、開帳足そのものがモートン病の原因になるわけではありません

正しく言えば、開帳足はモートン病の「直接的な原因」ではなく、「悪化の要因」になり得るに過ぎません。

では、なぜこの二つの症状が混同されやすいのでしょうか?そして本当の原因はどこにあるのでしょうか?

ここでは、モートン病と開帳足の関係性を整理しながら、それぞれの本当の原因と改善の方向性について詳しく解説していきます。

モートン病の本当の原因

モートン病とは、足の中指と薬指、もしくは人差し指と中指の間など、足の指の付け根付近で神経が圧迫され、しびれや鋭い痛みを伴う病気です。

特に「焼けるような痛み」や「電気が走るような痛み」が特徴的で、歩行やランニングを続けることが困難になる場合もあります。

巷では「靴が合っていないから」「ヒールを履いているから」「足のアーチが崩れたから」といった説明を耳にすることが多いですが、実はこれらはあくまで表面的な要因です。

根本原因はもっと深いところにあります。

モートン病の根本的な原因

モートン病の根本的な原因は、

上半身の重心バランスの崩れによって、前足部(足の指の付け根)に過剰な体重がかかってしまうこと

です。

本来であれば、歩行時の体重はかかとから足裏全体を経て、最後に指先へとスムーズに流れるべきです。

しかし、上半身の重心が前方や左右にずれていると、そのバランスを取るために前足部に大きな負担が集中します。

その状態で、さらに痛む部分で地面を打ち付けるような歩き方をすると、足裏の神経が圧迫され続け、やがてモートン病を発症するのです。

開帳足とは何か?

一方、「開帳足」とはどんな状態でしょうか。

開帳足とは、足の横アーチが崩れて横に広がってしまった状態を指します。

正常な足は、縦方向(内側縦アーチ、外側縦アーチ)と横方向のアーチによって、歩行時の衝撃を分散する仕組みを持っています。

しかし、横アーチが崩れると、足幅が広がり、足指の付け根部分にタコやマメができやすくなります。

「開帳足になるとモートン病になりやすい」と言われるのは、確かにある意味では正しい側面があります。

横アーチが崩れて前足部が広がると、神経の通り道が狭くなり、圧迫されやすくなるからです。

しかし重要なのは、開帳足そのものがモートン病を引き起こすわけではないということです。

開帳足もまた、モートン病と同じように「上半身の重心バランスの崩れ」が背景にある症状なのです。

開帳足とモートン病に共通する原因

開帳足とモートン病に共通する原因についてです。

モートン病の原因

モートン病になる流れは、

  1. 上半身の重心のズレ
  2. 前足部に過剰な体重負担
  3. 痛む部分での強い着地
  4. 神経の圧迫
  5. モートン病発症

です。

開帳足の原因

開帳足になる流れは、

  1. 上半身の重心のズレ
  2. 足裏での体重分散の不均衡を治そうとする
  3. 足で踏ん張る
  4. 横アーチの低下
  5. 開帳足の発症

です。

つまり、両者の症状は「結果」として異なる形で現れていますが、根っこは同じ原因から生じているのです。

そのため、開帳足を「モートン病の原因」と捉えるのは正しくありません。

正しくは、両方とも「重心バランスのズレ」によって引き起こされた兄弟のような症状です。

さらに言えば、開帳足の状態がモートン病の悪化を助長することがある、という関係性なのです。

どうすれば改善できるのか?

モートン病にしても開帳足にしても、真の原因が上半身の重心バランスにある以上、足裏だけを対処しても根本的な解決にはなりません。

例えば、インソールでアーチを支えたり、タコを削ったり、神経を保護するパッドを入れたりしても、重心のズレがそのままであれば再発します。

改善のために必要なのは、

  1. 上半身の重心バランスを整えること
  2. 歩き方を根本的に改善すること

の二点です。

特に歩き方の改善は重要です。

多くのモートン病患者は、無意識のうちに「痛む部分で地面を打ち付けるように歩いている」ことが多いです。

この癖を直さない限り、モートン病の痛みは繰り返されますし、開帳足の進行も止まりません。

開帳足とモートン病の原因ではありません

開帳足とモートン病は、一見すると「開帳足が原因でモートン病になる」と思われがちですが、実際はそうではありません。

同じ原因が、モートン病と開帳足を引き起こしているので関係しているように見えるだけです。

両方の症状を同時に解決するカギは「重心バランスを整え、正しい歩き方を身につけること」にあるのです。

表面的な対処にとどまらず、根本的な原因にアプローチできれば、モートン病の痛みも、開帳足の不快感も解消へと導けるでしょう。