歩いていると、足指の付け根(特に中指・薬指の間や裏側)に「ビリッ」「ジンッ」とした電気が走るような痛みを感じることがあります。
これは、足の神経が圧迫されていることが原因となることが多く、その代表例がモートン病(モートン神経腫)です。
モートン病(Morton神経腫)とは
モートン病は、足指(第3・4趾=中指と薬指)の間を走る神経が、靭帯や骨、周囲の組織により圧迫され、神経が肥厚してしまうことで起こる疾患です。
欧米では比較的よく知られており、女性に多い傾向があります。
症状の特徴
歩行中や長時間の立位で、足指の付け根にしびれや灼熱感、電気が走るような痛み、靴を脱ぐと痛みが軽くなる、小石が挟まっているような違和感があるなどです。
起こりやすい場所
一般的には第3・4趾間(中指と薬指の間)が最も多いですが、第2・3趾間(人差し指と中指の間)にも生じることがあります。
なぜモートン病が起こるのか(原因)
つま先が細い靴やハイヒール、前足部への荷重が強い歩き方、外反母趾・扁平足・横アーチの崩れなどが神経への負担や圧迫を引き起こします。これらが繰り返されることで神経腫が形成されやすくなります。
モートン病の症状を詳しくみる
初期症状では長時間歩くと足指の間にしびれや違和感が出ますが、休むと治ることが多いです。
進行すると短時間の歩行でも「ビリッ」とした痛みが走り、靴を脱いでも違和感が残るようになります。
神経が慢性的に肥厚すると、常に痛みやしびれが続くこともあります。
モートン病以外の可能性(鑑別)
同じような「電気が走る痛み」は他の疾患でも起こることがあります。
足底神経の絞扼性ニューロパチー、足底筋膜炎、末梢神経障害(糖尿病性ニューロパチーなど)、腰椎ヘルニアや脊柱管狭窄症による神経症状などです。
場所が中指・薬指の裏で歩行時に増悪するという条件だと、モートン病の可能性が高いと考えられます。
診断方法
整形外科や足専門外来では、徒手検査(Mulderテストなど)で痛みやクリック感を確認し、X線で骨異常の有無、MRIや超音波検査で神経腫の有無・大きさを確認します。
治療法(保存療法が基本)
靴の見直し
幅広で前足部に余裕のある靴に替え、ヒールは低くすることが大切です。
インソール・足底パッド
中足骨パッド(メタターサルパッド)を使用して神経への圧迫を軽減します。
歩行改善
かかとから着地して重心を適切に移動する「正しい歩き方」を身に付け、前足部への過剰な荷重を減らします。
最近改善の実績が多数報告されている治療法です。
薬物療法
痛みが強い場合は消炎鎮痛薬(NSAIDs)や神経ブロック注射が行われることがあります。
手術療法
保存療法で改善しない場合、神経腫を切除する手術が検討されます。
入院は短期間(1〜2日)で済むことが多いです。
ただし、通常の生活への復帰は1ヵ月程度かかり、座り仕事で1ヵ月、立ち仕事は3ヵ月程度かかります。
術後は痛みが消失するケースが多いですが、しびれ感が残る場合もあります。
また、神経腫ができる根本原因が改善されていないと再発の可能性はあります。
自分でできる予防・セルフケア
つま先が広くクッション性のある靴を履くようにします。
また、歩き方をかかと着地・痛む部分で蹴り出さないように意識して歩くことで負荷を分散させます。
体重を減らすと、前足部への負荷を減らすことが予防になります。
歩行中に「足の薬指・中指の裏あたりに電気が走る痛み」がある場合、モートン病(モートン神経腫)が最も代表的な原因
歩行中に「足の薬指・中指の裏あたりに電気が走る痛み」がある場合、モートン病(モートン神経腫)が最も代表的な原因です。
足の横アーチの崩れや靴・歩き方の癖などが神経圧迫を招きます。
まずは靴・インソール・歩行の見直しなど保存療法から始め、改善しない場合は専門医に相談して歩行改善に取り組むことが大切です。