足の裏、とくに中指や薬指の付け根あたりに痛みやしびれが出る「モートン病」。
歩くたびにピリッとした感覚やズキズキとした痛みが生じ、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
特に「痛いときは冷やすのか、温めるのか?」という疑問を持つ方は多いでしょう。
本記事では、モートン病の原因から、痛みがあるときの適切な対処法、そして「冷やすのが正解」といえる理由までを詳しく解説します。
モートン病とはどんな病気か?
モートン病は、足の中指と薬指、または薬指と小指の付け根部分(中足骨の間)にある神経が圧迫されて炎症を起こし、痛みやしびれを引き起こす病気です。
正式には「モートン神経腫」とも呼ばれ、女性に多く発症するといわれています。
特にヒールやパンプスなど、つま先が細く足先に負担がかかる靴を履く人や、長時間立ち仕事をする人、マラソンやジョギングなど前足部に負担をかけるスポーツを行う人に多く見られます。
モートン病が起こる原因:歩き方と重心のバランスに注目
モートン病の根本原因は、単に「神経が圧迫される」だけではありません。
多くの場合、上半身の重心バランスが崩れて前足部に過剰な体重がかかる状態が長く続き、その状態で地面を打ち付けるような歩き方をすることが引き金になります。
こうした歩行習慣や姿勢の癖によって、足の前方部(中足骨周囲)が慢性的にストレスを受け、神経周囲に炎症が生じ、結果として神経腫(しこりのようなもの)が形成され痛みが強くなるのです。
つまり、モートン病の痛みは単なる一時的な疲労や外傷によるものではなく、重心の乱れ+不適切な歩き方が継続することで発生する「慢性的炎症」であることが重要なポイントです。
痛みがあるときは冷やす?温める?
炎症が起こっているとき、一般的な対処法として「冷やすべきか温めるべきか」は迷うところです。
モートン病の場合も例外ではなく、患者さんの多くが「温めたほうが血流がよくなって治るのでは?」と考えがちです。
しかし結論から言えば、痛みが強い・腫れている・炎症が起きている時期には、まず冷やすのが正解です。
冷やすのが正解である理由
炎症による熱感や腫れを抑える
モートン病の痛みの主因は神経周囲の炎症です。
炎症がある部位は血管が拡張し、熱感や腫れを伴います。
冷やすことで血管が収縮し、腫れや熱感を鎮めることができます。
神経の過敏性を抑える
神経腫ができている部分は、圧迫と炎症によって過敏になっています。
冷却はその過敏な神経活動を鎮静させる効果があります。
痛みの悪化を防ぐ
痛いからといって温めてしまうと、かえって血流が増え、炎症反応が強まる場合があります。
結果として痛みが長引くことにもつながりかねません。
このように、モートン病の急性期や痛みが強い時期には「冷やす」ことが炎症鎮静と痛みの緩和に役立ちます。
いつ温めてもいいのか?
ただし、慢性期(痛みや腫れが落ち着いている時期)や、リハビリや歩行改善を始めて血流を促したい時期には、温めることで筋肉や腱の柔軟性を高め、回復を助ける場合もあります。
「痛みが強いとき=冷やす」「落ち着いてきたとき=温めることも検討する」という区別が大切です。
冷やし方のポイント
モートン病の痛みに対して冷やす場合は、以下のような方法がおすすめです。
- 保冷剤や氷嚢をタオルで包み、患部(足の前足部)に10〜15分程度当てる
- 1日に数回、痛みや熱感が出たタイミングで行う
- 直接皮膚に氷を当てない(凍傷防止のため)
冷やすこと自体は応急的な痛み対策ですが、根本原因である「重心バランスの崩れ」や「歩行の癖」を改善しない限り、再発のリスクは残ります。
したがって、冷却はあくまで症状を一時的に和らげる手段として捉え、根本治療として歩行改善・靴の見直し・専門家の指導などを並行して行うことが重要です。
モートン病の痛みがあるときは「冷やす」が基本。完治には歩行改善が必要
モートン病は、上半身の重心バランスが崩れ、前足部に過剰な体重がかかる状態で、地面を打ち付けるような歩き方を続けることによって炎症が生じ、神経腫が形成されることで痛みが発生する病気です。
痛みや炎症が強い時期には、まず「冷やす」ことで炎症を鎮め、痛みを和らげることが最適な対処法となります。
そのうえで、歩行改善や靴選びなど根本的な見直しを行うことで、再発を防ぎ、健康な足を取り戻すことが可能です。