モートン病(Morton病)は、足の中指と薬指の間、または薬指と小指の間など、前足部の神経が圧迫されて炎症や神経腫が起こり、痛みやしびれ、違和感を生じる疾患です。
多くの場合、両足にリスクがあるものの、実際には「片足だけ」症状が強く出るケースも少なくありません。
では、なぜ片足だけモートン病になってしまうのでしょうか。
ここではその原因を詳しく解説し、改善のために必要な歩き方や姿勢についてもお伝えします。
モートン病の基本的な原因
モートン病の根本原因は、単に「神経が圧迫されること」だけではありません。
現代の整形外科や歩行分析の知見では、上半身の重心の位置が適切でないことによって、足裏への体重分散が不均一になっていることが大きく関係していると考えられています。
本来、人間の歩行はかかとから着地し、足裏全体に体重を分散しながら前方に進み、最後はつま先全体で軽く蹴り出すのが理想です。
しかし、重心が前に傾いていたり、片方の肩が下がっているなどの姿勢不良があると、足裏のバランスが崩れます。
その結果、前足部に過剰な荷重がかかったまま地面を蹴り出す歩き方になり、神経への圧迫が慢性化してモートン病が発症しやすくなります。
なぜ片足だけモートン病になるのか
では、同じ体なのに、なぜ「両足」ではなく「片足だけ」にモートン病が起こるのでしょうか。
その理由は、体重のかかり方と歩き方の左右差にあります。
1. 片足側に体重が乗りすぎている
人には利き手があるように、利き足もあります。
また、腰や骨盤の歪み、股関節の柔軟性の違いなどから、無意識に片方の足に体重をかけていることが非常に多いです。
立っているときにどちらかの足に重心を預ける癖がある方は、その側の前足部に慢性的な負荷がかかります。
これが長期化すると、片足だけモートン病になる条件が整ってしまうのです。
2. 片足だけ蹴り出す歩き方をしている
歩行時に、片方の足だけ強く蹴り出している癖も片足モートン病の原因です。
例えば、右足で強く蹴って左足はそっと着地する、といった歩き方を続けていると、右足前足部の神経に過剰なストレスがかかります。
このような左右非対称の歩き方は、腰痛や膝痛などからくる代償動作として起こることもあり、自分では気付きにくいことが多いです。
3. 靴やインソールの左右差
また、靴のサイズやインソールの状態が左右で違っていることも見逃せません。
例えば、右足の靴だけ少しきつい、あるいは古くなってクッション性が落ちている、といったことがあると、無意識に歩き方が変わり、片足だけ負担が増していきます。
こうした要因も片足モートン病の背景に潜んでいます。
片足だけなるモートン病を防ぐ・改善するためには
片足だけモートン病になってしまった場合、薬やサポーターで一時的に痛みを和らげることはできますが、根本的な改善には歩行と姿勢の見直しが不可欠です。
1. 正しい姿勢を身につける
まず、立位姿勢で左右の足に均等に体重がかかるよう意識しましょう。
鏡の前で肩や骨盤の高さをチェックし、片方に偏っていないか確認することが有効です。
また、胸を軽く張り、顎を引くことで上半身の重心が後方に戻り、前足部への荷重が減ります。
2. 蹴り出さない歩き方を習得する
次に、歩き方の改善です。
理想的な歩行は、かかとから静かに着地し、足裏全体を転がすように体重を移動させて、最後は軽く親指側で押し出す程度にとどめるものです。
特にモートン病の方は、前足部で強く地面を蹴らない「ゆるかかと歩き」(かかと着地を意識し、足裏全体を使う歩き方)などが推奨されます。
このような歩き方に変えることで、前足部の神経への負担が減り、炎症や神経腫の悪化を防ぐことができます。
さらに、左右均等な歩幅と体重移動を意識することで、片足だけに負担が集中することも防げます。
3. 靴の見直し
最後に、靴のサイズや形を見直すことも重要です。
つま先が窮屈な靴や、片方だけクッション性が落ちている靴は、片足モートン病を悪化させます。
左右でインソールを揃える、クッション性の高い靴を選ぶなどの工夫が有効です。
片足だけモートン病になる場合は、上半身の左右の重心バランスを確認する
モートン病の発症には、上半身の重心の位置の不具合から、足裏への体重分散が不均一になり、前足に体重が乗った状態で地面を痛む部分で蹴り出す歩き方をしていることが大きく関わっています。
そして「片足だけモートン病になる」場合は、痛む片足側に体重が乗りすぎている、または片足だけ強く蹴り出す歩き方をしていることが主な原因です。
足の問題ですが、原因は上半身にあります。
自分の歩き方や体重のかけ方を見直し、必要であれば専門家に歩行指導を受けることが、片足モートン病からの回復への近道です。